千島列島はすべてロシアのもの:メドヴェージェフが北方領土の不法占領を正当化

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メドヴェージェフ・ロシア大統領が、24日に放送されたインタヴュー番組の中で、クリール諸島(千島列島)に触れ、日本が固有の領土であると主張する北方4島を含め、すべての島がロシアの領土であることを強調したそうだ。(上の写真:AFP提供)

ロシアは北方4島を放棄するつもりはない、日本はこのことを踏まえて、バカな主張はやめるべきだ、そのかわりこの地域を、自由経済圏に指定して、日本人にも自由に経済活動ができるようにしてやろう、そうすれば日本の企業も儲けることができるし、この地域に住む人々の経済水準が上がることも期待できる、こういう趣旨のことを、平然と言い放ったということである。

ロシアの大統領がこんなことを言い出したのには、どんなわけがあるのか。

北方領土の問題は、日露領国の正常な関係構築にとって、本質的に重要なことがらであるから、それについてこんないいかたをするのは、異常なことだ、場合によっては、両国の深刻な関係悪化につながりかねない。

もしかしたらメドヴェージェフは、日本の政治家を心の底からバカにしているのかもしれない。日本の政治家たちは、どんなことをやられても、その意味を理解できないほど愚かな連中だ、こう思っているから、こんな理不尽なことを平気で言い出したのだろう。

もしそうでなく、日本の政治家はそうバカにしたものでもないということなら、このようにいうメドヴェージェフの方が愚かである、或は頭が狂っている、ということになる。

メドヴェージェフの主張は、こうとしか受け取れぬほど、ナンセンスな言い分だ。

最初に北方4島を不法占領したソ連の指導者たちでさえ、自分たちの行為を後ろめたく感じ、その返還を約束してきた経緯がある、ソ連がつぶれてロシアになっても、エリツィンなどは、のらりくらりながら、その返還に向けて努力しようといってきた。それがメドヴェージェフになって、このありさまだ。戦後60年にわたってくりひろげられてきた、日露領国の平和構築に向けての努力を水泡に帰させかねない暴論だ。

とまあ、この報道に接した筆者などは、とりあえずはこんなことが頭に浮かび、腹では憤りの熱い血潮を感じたりもしたが、ちょっと待てよ、日本とロシアとはいまだに平和条約も締結しておらず、ということは戦争が終結していない状態である、ということは互いに敵同士のわけだ。だからロシアが敵である日本に対してこんなことをいうのは、別におかしいことでもなんでもない。

むしろメドヴェージェフのこんな発言にいちいち神経をとがらせるほうが、少し幼すぎる反応なのではないか、冷静になると、こんな風にも思われてきたのだ。つまり、ごく当たり前の事態に対してこんな風に驚き騒ぐのは、普段よく考えていなかったことを暴露するようなものだと。

ともあれ、日本政府はこの発言を放置せずに、ロシア側と地に足の着いた交渉を行っていく必要がある。


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ロシアによる南樺太・千島列島(国後島・択捉島を含む)・色丹島・歯舞群島の実効支配は、国際法上何の根拠もなく、サンフランシスコ条約第25条に違反しています。

ロシアは日本に対してサンフランシスコ条約第2条cを掲げては「この条文により日本の放棄した南樺太・千島列島はロシアのものだ」などと主張しています。
ロシアがサ条約の条文を用いて、サ条約の有効性を認めるとすれば、この条約に存在する別の条文(第25条)もロシアは有効と認めたこととなります。ということは、ロシア自身がロシアによる南樺太・千島列島・色丹・歯舞の領有を否定することを宣言したこととなるのです。

サンフランシスコ条約第25条
「この条約の適用上、連合国とは、…当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。…この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原及び利益も、この条約のいかなる規定によっても前記のとおり定義された連合国の一国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。」

ソ連(ロシア)は連合国の一員として太平洋戦争に参加していますが、サ条約に署名していないのでサ条約上の連合国ではありません。この条文の存在により、サ条約に署名した49カ国は、ソ連(ロシア)による南樺太・千島列島(国後、択捉を含む)・色丹・歯舞の領有を正式には認めていません。このほか、ソ連(ロシア)により被害を受けた国(バルト三国・旧共産圏の国など)がありますから、おそらく、これらの国々も上記地域を正式にはロシア領とは認めていないでしょう。

日本は、国後・択捉は千島列島にあらずなどという嘘の混ざった四島返還論などやめて、千島列島ではない歯舞・色丹(サ条約によってすらこの二島を日本は放棄していない)の即時無条件の返還を求めると同時に南樺太・千島列島はサ条約25条により国際法上、ロシア領ではない旨を堂々と国際社会に向かって主張しなければなりません。

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