プラスティネーションとは、特殊な技術で遺体に防腐処置を施した人体標本のことだ。日本でもその展示会が開かれたことがあるから、見た人も多いだろう。かくいうわたしも見学して、度肝を抜かれたことがある。人間の体が中心軸にそって真っ二つに切断され、頭のてっぺんからペニスのさきまで、縦断面がむき出しになっていたからだ。そのほか、脳みそのスライスやら、女性の子宮の切片やらが、まるでシャーレのように、無表情に並んでいた。
この技術を創案したのは、ドイツ人の解剖学者グンター・フォン・ハーゲンス(Gunther von Hagens)氏。一時は世間の顰蹙を買って、法的訴追を受けそうになったこともあるが、今日では世界中のひとたちに評価されている。
そのハーゲンス氏が、自分も死後は人体標本になるといっているそうだ。それも遠い将来のことではないらしい。というのも、氏は現在65歳だが、パーキンソン病の末期状態にあり、遠からず鬼籍に入ることが確実視されているからだ。
魂が天に召された後に残された遺体は、細君の手によって人体標本として生まれ変わり、「人体の世界」展の会場入口に展示してもらいたい、氏はそういっているそうだ。(上の写真は人体標本とハーゲンス氏:AFP提供)
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