ベルルスコーニ、ピンチか?

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イタリアの首相シルヴィオ・ベルルスコーニは実にユニークな男だ。現代イタリア立志伝中のシンボルのような人間だといえる。一代で巨万の富を築き、それを足がかりに政界入りするや、延7年間にわたって首相の座にあった。日本同様ころころ政権が変ってきたイタリアでは、まず大変なことだ。

だが歯に衣着せず、いいたいことをいったり、生来の好色振りからたびたびセックス・スキャンダルをおこしたことが災いして、しょっちゅう議会やメディアの吊るし上げを食っても来た。昨年の末には、刑事訴追されていることを理由に不信任決議案を出されたが、それは何とか乗り切った。

ところがである、今回は刑事訴追に関して首相ほか重要閣僚の免責特権を定めた法律が違憲だとの判断を憲法裁判所が出した。ベルルスコーニはこの法律の規定に従って、これまで刑事訴追をまぬかれてきただけに、もしかしたら法廷に引き出されるかもしれないとの観測を生んだ。ベルルスコーニもこれまでか、というわけである。

ベルルスコーニが現在訴求されている罪状は三つ、贈賄事件をつくろうためにイギリスの弁護士を買収したことや脱税などの事件だ。これに加えて、モロッコ人の未成年女性を相手に買春したという疑惑もある。こちらは、ベルルスコーニが訴追される可能性が高いとなれば、本格的に捜査されるだろうと見られている。

こうした状況を前に、ベルルスコーニが崖っぷちに立たされたような悲壮感に陥っているかというと、そうでもないらしい。何しろ彼は、17年前に政界に登場して以来、政敵たちの陰謀によって、たびたび訴追を受けてきた。今度もその延長に過ぎないというわけらしい。

イタリアのような国の宰相を長く務めようとするには、それくらいの図太さがなければいかんよ、ベルルスコーニはそう語っているようだ。(写真はEconomistから)


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