森の精ドリアード Dedans des Prez je vis une Dryade:ピエール・ド・ロンサールのソネット

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ピエール・ド・ロンサール「カサンドラへのソネット」第51番「森の精ドリアード」Dedans des Prez je vis une Dryade(壺齋散人訳)

  牧場に見えるのは森の精ドリアード
  花に囲まれてくつろぐ姿が美しい
  色鮮やかな帽子のかげには
  緑なす乱れ髪が揺れている

  その姿を一目見てより恋に悩み
  心は騒ぎ 涙はあふれ
  わが苦悩はいやましに募り募って
  その流し目にさいなまれるばかり

  わが瞳には甘い毒が注ぎ込み
  その毒が魂の奥深く流れ入り
  わたしは深い痛手をこうむるのだ

  うるわしき六月のユリのように
  日差しに焼かれ 頭を垂れて
  青春の盛りをいたずらに過ごすのだ


「恋愛集」所収。ドリアードとはギリシャ神話に出てくるニンフのうち木の精霊の名である。人間の思いが届く存在ではないが、時によって人間を誘惑することもあると考えられていた。その場合には、ドリアードとの一夜が、人間世界での何百年にも相当するので、愛からさめた人間はあたかも浦島太郎になったような気になる。


Dedans des Prez je vis une Dryade
Pierre de Ronsard

  Dedans des Prez je vis une Dryade,
  Qui comme fleur s'assisoyt par les fleurs,
  Et mignotoyt un chappeau de couleurs,
  Echevelée en simple verdugade.

  Des ce jour là ma raison fut malade,
  Mon cuoeur pensif, mes yeulx chargez de pleurs,
  Moy triste et lent : tel amas de douleurs
  En ma franchise imprima son oeillade.

  Là je senty dedans mes yeulx voller
  Une doulx venin, qui se vint escouler
  Au fond de lame : et depuis cest oultrage,

  Comme un beau lis, au moys de Juin blessé
  D'un ray trop chault, languist à chef baissé,
  Je me consume au plus verd de mon age.


関連サイト:フランス文学と詩の世界





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