アメリカ映画「ソーシャル・ネットワーク」を見た。フェースブックの創始者として今話題のマーク・ザッカーバーグを描いたものだ。映画広告のキャッチフレーズに天才とか裏切り者とか危ない奴とか、刺激的な言葉があったので、ついつられて、見る気になった。
映画はザッカーバーグに対する尋問の場面を中心に展開していく。尋問の内容に関連したシーンが時系列的に映し出される。非常に凝った構成だといえる。
何故尋問なのか、それは映画を見ている間にわかってくる。ザッカーバーグと協力し合っていた友人たちが、途中で事業から切り捨てられたことに怒り、ザッカーバーグを訴えたわけなのだ。その訴えに対してザッカーバーグは、時にはとぼけた反応をしたり、時には素直に認めたりして、真相をあぶりだしていく。その過程が面白い。
通常の物語と違って、この映画のストーリーは、訴訟の当事者の主張を軸に展開していくので、非常に生々しい色合いに満ちている。登場人物たちの主観性の衝突によって、ストーリーが構成されているわけなのだ。
ザッカーバーグの、かつては友人であり今では敵となった男たちが、ああでもない、こうでもないと、ザッカーバーグを攻撃する。裏切り者とか、汚い奴だとかいう見方は、彼らの見地からする評価であるわけだ。一方彼が天才であることは、誰もが否みえない事実として提示される。
舞台となったハーヴァード大学のキャンパスがリアルに描かれている。ある教室ではビル・ゲイツが講義をしている。ザッカーバーグもそれを聞いているが、あまり感心した様子には見えない。彼の関心事は、フェースブックをスマートに作り上げることだけなのだ。
実際この映画に出てくるザッカーバーグは、プログラミングの虫のように描かれている。彼が天才だといっても、それはアイデアの独創性を意味しているわけではない、アイデア自体は誰もが考え付きそうなことだ。だがそれが世界中の人びとの心をとらえることはなかなか出来ることではない。ザッカーバーグが天才である所以は、アイデアに人の心をとらえる魔力を持たせる能力にある。
ところでこの映画でザッカーバーグを演じた俳優は、いかにも学生っぽい表情をしていた。本物のザッカーバーグ自身もまだ26歳の若さだ。
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