ウソが戦争を引き起こした:イラクの大量破壊兵器存在問題

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アメリカのブッシュ大統領とイギリスのブレア首相はイラクに戦争をしかける理由として「大量破壊兵器の存在」をあげたが、そんなものは結局どこからも発見されなかった。それもそのはず、その情報の一次提供者がついたウソを、ドイツの情報機関が信用し、それを又聞きで知らされたブッシュ政権が、戦争開始の口実として飛びついたにすぎなかったからだ。

この事実を明らかにしたのは英紙ガーディアン。ガーディアンはこの情報の一次提供者たるイラク人ラフィド・アハメド・アルワン・ジャナビ(Rafid Ahmed Alwan al-Janabi)氏から取材した記事を報道するとともに、彼へのインタビューの様子をネットで世界中に配信した。(上の映像:YouTubeから)

それによれば、ジャナビ氏は2000年頃、パウル博士(Dr Paul)と名乗るドイツ情報機関の関係者に、フセイン大統領はトラックで移動が可能な生物兵器を所有しており、兵器工場を建設しているとウソを語ったが、それはフセインの独裁政治を倒したいという思惑から意図的についたウソだったということだ。

このウソが西側諸国の情報筋の間で独り歩きし、その結果、2003年2月にコーリン・パウエルが行った国連演説につながったわけだ。この演説の中でパウエルは、イラクを攻撃すべき必要性の根拠として、ウラン濃縮活動と国際テロ組織「アルカイダ(Al-Qaeda)」の存在と並んで、大量破壊兵器の存在をあげたのだった。

この演説を聞いたジャナビ氏は、自分のウソが大問題に発展していることに、内心穏やかならぬものを感じたが、ウランやアルカイダの問題もイラク攻撃にかかわっていると聞いて、自分のウソの重みが幾分かは軽減されるような救いも感じたそうだ。

自分がこんなウソの情報を提供したことについて、ジャナビ氏は、「正しかったかもしれないし、間違っていたかもしれない」といっているが、それはあくまでもフセインを倒したいという切羽詰まった思いからしたことであって、その点では後悔していないといっている。

ところで、まんまとだまされたブッシュとブレア。ブッシュの方は近々大統領時代の回想録を出すそうだが、その中でイラク戦争へのかかわりを幾分かは反省するような書き方をするそうだ。一方ブレアの方は、自分の判断は間違っていなかったと、あくまでも言い張るつもりのようである。


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