いまや16カ国にも拡大したアラブ諸国の民主化デモは、イエメンでも先鋭化してきた。チュニジアのジャスミン革命にいち早く反応したイエメンの民主化運動は、2月17日以降毎日のようにデモを繰り返すようになり、2月25日には治安部隊がデモ隊に発砲、11人が死亡する事態になった。
これを受けて、2月26日には首都サヌアで8万人規模のデモが行われたほか、アデンなどの諸都市でも数万人規模のデモが行われた。
3月1日にもデモ隊は数万人規模を維持、サレハの即時退任を求めている。これに対してサレハは、アメリカとイスラエルがデモの背後にいるといって激しく非難、オバマはアメリカの大統領であって、イエメンの大統領ではないと攻撃した。
32年間イエメン大統領の座にあるサレハは、次期大統領選挙への不出馬や一定の民主化を提案してデモの鎮静化を図ろうともしているが、デモ隊は妥協の姿勢を見せていない。サレハによる武力弾圧の結果、ますます強硬姿勢を強めている。
リビアのカダフィ大佐が身をもって示したように、腐敗した権力は民衆に対して背を向けることで、自分の墓穴を掘っているのだといえる。
それはともかく、イエメンにはアルカイダの拠点をはじめイスラム過激組織の本部がいくつかあるとされている。イエメンの体制の不安定化がこうした組織の暗躍につながる恐れもあり、国際社会は注意深く見ていくことが必要だ。(写真は時事通信)
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