ロシアが軍備増強計画を発表した。6500億ドルの巨費を投じて、ヘリコプター1000機、戦闘機600機、戦艦100隻、核弾道ミサイルを装着した原子力潜水艦8隻などを装備し、陸海軍の戦闘能力を格段に進化させようとする意欲的な計画だ。
ロシアの軍事力は世界第5位の水準だといわれているが、ソ連崩壊後20年間ほとんど装備を更新しておらず、戦闘能力は低いといわれている。国力が回復した今、国力並みの軍事力を持って、軍事大国としてふさわしい地位を取り戻したいということらしい。
ロシアがもっとも重要視しているのは、局地紛争への備えだ。グルジアとの間で紛争が起きた際、ロシアは装備が古かったこともあって、作戦上大いに苦労した。装備を強化することで、その二の舞を防ぎたいという思惑だ。
局地的な紛争としては、北方領土をめぐり、日本と武力衝突が起こる可能性も考えているらしい。今の日ロの軍事バランスからして、もし衝突が起きた場合、ロシアは間違いなく日本に負けるだろうと、シミュレーションしているくらいだ。
4隻購入予定の強襲揚陸艦のうち2隻を極東艦隊に配備するのも、日本を強く意識したものと思われる。
だがロシア国内では、こうした軍事力の強化に異を唱えるものもいる。なかでも厄介なのは、新戦力のほとんどがソ連時代の旧い技術を前提としていることだ。せっかく装備しても役立たないと批判されている。
たとえば戦闘機についていうと、目玉のスホーイSu-35はアメリカのF22 やF35に比べ技術レベルが格段に低といわれている。
この計画最大の目玉である強襲揚陸艦も自衛能力が低く、世界の海に展開させるためには分厚いガード部隊が必要だといわれている。
こんなわけで、金さえ使えば戦力も手に入ると期待するのは狸の皮算用で、いくら金を使っても張子の虎をつかまされる恐れが強いということらしい。
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