中国の2011年度の国防予算が前年度比12.7パーセント増の6011億元(約7兆5千億円)になる見込みだ。伸びが二ケタ台に乗るのは2年ぶりのことだ。
日本の2011年度予算案では、防衛関係費は4兆7752億円だから、中国の軍事費は日本の1.58倍にもなる。いまやアメリカについで、世界第二の軍事大国になりつつある。
中国側の説明によれば、これらの予算は兵士の待遇改善や装備の近代化にあてられるとされている。いずれにしても、中国の軍事力が飛躍的に高まっていく傾向は、避けようもないことだろう。
中国がいま軍事的にもっとも重視しているのは、東シナ海から南シナ海にかけての海域において、中国の権益を主張することだ。
中国は圧倒的な軍事力を背景に、これらの海域で周辺諸国を脅かしているし、尖閣諸島をめぐる日本との対立も、不気味な様相を呈しつつある。
こうした中国側の動きに対して、日本側も新たな作戦を展開するようになった。いままではソ連の侵略を想定して北海道に集中していた戦力配備を、尖閣諸島を含む南西諸島への重点配備に切り替えつつある。
韓国も、中国の軍事大国化には日本と同様の懸念を持っている。そのことが、日韓両国間での軍事的協力関係の強化を促しつつある。
中国の軍事大国化は、東アジア地域を不安定化させる最大の要因となっているのだ。
だが、中国の主力戦闘機がロシア製のスホーイSS-27であることで象徴されるように、中国の軍事力は時代遅れの部分を多く抱えている。量的には圧倒的な威力を感じさせるが、質的には水ぶくれといってよい状態なのだ。
そもそも中国といえば、いかなる時代にあっても、体外的な侵略には関心を持たない国だったはずだ。それが近年国防力の強化を背景に、好戦的な態度をとるようになった。
扱い方になれない武器を振り回すのは、他人にとって迷惑になるのは無論、自分にとってもよい結果にはならない。本来草食系のおとなしい動物が、肉食獣のまねをしても、ろくなことにはならない。中国は過去の歴史をもう一度虚心に振り返り、軍事大国になろうなどという、似合わぬ野心は持たないほうがよい。
なにも軍事力だけが、国威発揚の手段ではない。(上の表は中国の国防予算の推移:朝日新聞から)
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