AFP通信が伝えるところによれば、ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Дмитрий Медведев)大統領は、東日本大震災の被災者について、シベリアやロシア極東地方で受け入れ、再就職をあっせんする用意があると表明したそうだ。
メドヴェージェフはこの考えを、安全保障問題の会議の席上で発表したそうだが、自分一人だけのアイディアではなく、野党のロシア自由民主党党首ウラジーミル・ジリノフスキー(Владимир Жириновский)も賛成しているという。自由民主党はロシアの極右政党で、ジリノフスキーは筋金入りの排外民族主義者だ。
この組み合わせが暗示しているのは、日本の被災者に対する素直な同情ではなく、被災者の窮状をロシアのために利用できないかという打算だろう。
ロシアの前身であるソ連は、日本人に対して言語を絶する非人道的な行為をしてきた。第二次世界大戦終了前後に行われた葛根廟での日本人大量虐殺、60万人にも及ぶ日本人戦争捕虜への虐待などがそれだが、ソ連政府もその後継者であるロシア政府も、そのことについて一言も謝罪していない。
また、日本の固有の領土である北方諸島を不法占拠しているばかりか、それを永久に占領し続ける意思を表明している。
そういう状況の中で、今回メドヴェージェフがこういう発言をした。
普通の日本人なら、これを友好的なサインとして受け取るものはいないだろう。むしろ人の弱みに付け入って、唾を吐きかける類の卑劣な行為として受け止めるものが殆どだろう。
我々日本人は何も、ロシアの同情などいらぬお世話だし、彼らが申し訳程度に実施している援助を押し付けがましく言われるのも大きな迷惑だ。まして日本人を拉致してシベリアの労働力不足を補おうなどという、卑劣な意図に付き合うつもりもない。
多くの日本人がソ連によって奴隷化されたという記憶を拭い去っていない中で、今回のメドヴェージェフの発言は、たちの悪いブラック・ジョークか、あるいは日本人の新たな奴隷化へ向けての深謀遠慮としか受け取れない。(写真はロイターから)
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