福島第一原発3号機のタービン建屋で復旧作業をしていた作業員は、2-6シーベルトの放射線を浴びていたことが、放射線医学総合研究所の検査で分かった。
これは労働安全衛生法が定める被曝の上限値1シーベルトをはるかに超える値だ。国際放射線防御委員会によれば、全身被曝した場合、3-5シーベルトで半数の人が死亡するという。(今回の被ばくは、くるぶしから下の部位)
この事故は起こるべくして起きたと、厳しい批判にさらされている。東電は現場の危険な状況を十分に把握していながら、それを末端の作業員に伝えていなかったことがわかったからだ。生命の危険があることを認知しながら、それを知らせず、結果として人を苦境にさらすのは、許されることではない。
命を張って復旧作業にあたっている多くの人々のことを思うと、東電の対応には、怒りを覚える。
被爆当時、三号機のタービン建屋の水たまりの水には、一時間当たり400ミリシーベルトの放射線が含まれ、ガンマ線が一立方センチメートルあたり390万ベクレルだった。これは通常の一万倍の量だという。一号機においても、380万ベクレルを記録した。
一方2号機においても、27日朝現在、タービン建屋の水たまりから一時間あたり1000ミリシーベルトの放射線が検出された。検出された放射性ヨウ素134の濃度は1立方センチメートルあたり29億ベクレルと、通常の値の1000万倍だ。
これらの放射性物質は、どうやって漏れ出たか、今のところ詳細は特定できていないが、1,3号機とも、原子炉とタービン建屋を結ぶ配管の一部から、放射性物質が漏れたと推測されている。
2号機については、先日報道された圧力抑制室の破損が影響しているものと考えられる。
いずれにしても、放射能漏れが続いており、原子炉内部が高い放射能値を示していることから、冷却装置の復旧作業が思うように進んでいない。また排水溝近くの海水から高い放射能値が検出されるなど、汚染の拡大も心配される。
原子炉がいつになったら安心できる状態に落ち着くのか、相変わらず予断を許さぬ状況下にあるといってよい。
ひとたびは見えたと思われた光が、再び暗雲におおわれてしまったかの感がする。(写真はAFPから)
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