死のソネット Je n'ay plus que les os:ピエール・ド・ロンサール

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ピエール・ド・ロンサールの詩「死のソネット」Je n'ay plus que les os(壺齋散人訳)

  わたしはもう骨ばかりの骸骨の標本にすぎない
  肉は削げ落ち 神経も筋肉も瞳もついていない
  無慈悲な死神がわたしに取り付いたのだ
  もはや慄かずに自分自身を見ることができぬ

  アポロの神とその御子が力をあわせても
  もはやわたしを救うことはできぬ
  さらば日の光よ わが目はめしい
  わが身は地獄へ落ちながら解体していく

  わが友よ わたしが解体して行く様をみたならば
  せめて悲しみに濡れたわが眼をなでさすり
  寝床に横たわったわたしをなぐさめつつ 

  死の眠りにとらわれた我が瞳をぬぐって欲しい
  さらば愛する友よ さらば懐かしき友よ
  先に行って君たちのために席を取っておこう


中世に生きた人々にとって、氏は身近なものであるがゆえに、ひときわおぞましいものだった。ひとびとは死神のイメージをさまざまな形で現し、それを受け入れたり、反発したり、超越したりした。

ロンサールが生きた時代は、黒死病の記憶のほかに、宗教戦争による殺し合いが現実の事態としてあった。だから死は、ごく普通のありふれた現象だったのだ。


Je n'ay plus que les os, un Schelette je semble

  Je n'ay plus que les os, un Schelette je semble,
  Decharné, denervé, demusclé, depoulpé,
  Que le trait de la mort sans pardon a frappé,
  Je n'ose voir mes bras que de peur je ne tremble.

  Apollon et son fils deux grans maistres ensemble,
  Ne me sçauroient guerir, leur mestier m'a trompé,
  Adieu plaisant soleil, mon oeil est estoupé,
  Mon corps s'en va descendre où tout se desassemble.

  Quel amy me voyant en ce point despouillé
  Ne remporte au logis un oeil triste et mouillé,
  Me consolant au lict et me baisant la face,

  En essuiant mes yeux par la mort endormis ?
  Adieu chers compaignons, adieu mes chers amis,
  Je m'en vay le premier vous preparer la place.


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