エレーヌへのソネット第49番:ピエール・ド・ロンサール

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ピエール・ド・ロンサールの詩「エレーヌへのソネット第49番」(壺齋散人訳)

  あなたが愛の神に導かれて広間に降り立ち
  美しい愛のバレーを巧みに踊ったとき
  あなたの瞳の光があまりにも明るくて
  あなたの周りは夜が昼に変わったほど
 

  気高い踊りはいつまでもやまず
  ほどけてはまた結び いくたびも繰り返す
  もつれるかと見えてはまたほぐれ
  まるでメアンドロスの流れを見るよう

  丸くなったり 長くなったり せまくなったり
  とがったり 三角を描いたり まるで鶴の群れが
  寒さを避けて飛んでいくかのよう

  あなたは踊っていたのではなく
  空たかく飛んでいたのだ
  そうして自然に溶け込んでいたのだ


幻想的なこの詩は、愛する人の姿を理想化したものだ。理想の美は地上的なものを超越して天上に向う。ロンサールの時代には、そうした想像力のあり方が、ひとつの定型をなしていた。


  Le soir qu'Amour vous fit en la salle descendre
  Pour danser d'artifice un beau ballet d'amour,
  Vos yeux, bien qu'il fût nuit, ramenèrent le jour,
  Tant ils surent d'éclairs par la place répandre.

  Le ballet fut divin, qui se soulait reprendre,
  Se rompre, se refaire, et tour dessus retour
  Se mêler, s'écarter, se tourner à l'entour,
  Contre-imitant le cours du fleuve de Méandre.

  Ores il était rond, ores long, or étroit,
  Or en pointe, en triangle en la façon qu'on voit
  L'escadron de la grue évitant la froidure.

  Je faux, tu ne dansais, mais ton pied voletait
  Sur le haut de la terre ; aussi ton corps s'était
  Transformé pour ce soir en divine nature.


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