急に暖かくなって東京のあちこちで桜が咲き始めたというので、昼休みに市ヶ谷の土手に行ってみると、案の定春風を受けて咲き始めていた。すでに五部咲きといったところか。
しかしいつもの年とは違うところがある。樹下に弁当を広げる人の姿を見かけないことだ。数年前に来たときには、土手沿いにブルーシートが所狭しと敷かれていたが、そういう眺めも見られない。人々の間に広がる自粛ムードの現れだろう。
たしかに、東北地方の惨状を思えば、宴会を催す気にはなれないだろう。だが余り自粛ムードに押し流されると、世の中がますます暗くなる。ひいては、日本経済も湿っぽくなるばかりだ。
兼ね合いが難しいところだろうが、自粛が過ぎて縮みこむようなことは、長い目で見れば得策ではない。ましてお上が率先して下々に自粛を云々するのは、筋違いのことだというべきだろう。
昨年は、新宿御苑で弁当を広げながら花見の気分を満喫した、そんなことを思い出しながら、一時の感慨にふけったところだ。
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