キリエンコ(ロシアの原子力専門家)の日本批判

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日本政府が福島原発事故を、チェルノーブィリと同じレベル7に引き上げたことについて、ロシアの原子力専門家キリエンコ氏が痛烈に批判している。

キリエンコ氏はロシアの原子力公社「ロスアトム」の総裁だが、訪問先の中国でこの報に接し、緊急記者会見を行った。その中で氏は、「福島第一原発の状況は思ったほどには悪化しておらず、われわれの評価ではレベル6にも達しない」と延べ、日本政府の措置に疑問を呈した上で、「原子力とは別の財政上の問題があるのではないか、事故のレベルを引き上げることで、事故に伴う巨額の保険金などの支払いを免れようとする意図があるのではないか」という見方を示したそうだ。

キリエンコ氏は、事故発生一週間後の3月18日に行われたロシア大統領府安全保障会議の席上、東電をはじめ事故を起こした当事者を激しく非難するとともに、事故の規模はそう大きなものではないとの見通しを述べた人物だ。そんな背景があるから、日本政府の対応を批判してみたくなったのかもしれない。

それにもうひとつ、背景になったいきさつがある。

今回の事故に際して、ロシアはプーチンの号令のもとに、いち早く援助の提供を表明したが、そのひとつとして、チェルノーブィリ事故の処理にかかわったエクスパートの派遣があった。派遣されたのはキリエンコ氏の配下のアスモロフ氏だが、彼に対してはどういうわけかなかなかヴィザが下りず、また、せっかく日本へ到着したあとでも、東電との接触が許されず、記者会見の場も与えられなかった。

そうこうしているうち、実質的には何もすることなく、というより好意を発揮する機会を与えられないまま、三日後には激怒して帰国してしまった。

こんなことがあったので、キリエンコ氏は、日本側の仕打ちを深く恨んでいたといわれる。その屈折した感情が、今回の日本政府批判につながったのではないか、そう見る事情通もいるそうだ。


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このページは、が2011年4月14日 21:48に書いたブログ記事です。

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