ミツバチが大量に消滅する不思議な現象は2006年頃に本格化し、このブログでも取り上げたことがあるが、その後の研究で、ウィルスが原因であることがほぼ解明された。問題はこのウィルスがどのようなルートを通じて、ミツバチの集団の間で感染し、大量消滅の事態を拡大させるかということだった。
ペンシルベニア大学の昆虫学者ダイアナ・コックス・フォスター(Diana Cox-Foster)さんの研究によれば、花の花粉がウィルスの感染を仲介しているということだ。
つまりウィルスに感染したミツバチの個体がそのウィルスを花粉につける、すると後からその花粉を訪れた個体が、花粉からウィルスを受け取る、これを繰り返すことで、多くの集団間でウィルスが速やかに広がるというわけである。
もっともウィルスそのものは、人間にとってはごくありふれたインフルエンザ・ウィルスのようなもので、それだけではミツバチにとって致命的にはならない。ほかのファクター、たとえば寄生虫や栄養不良などによって体力が低下すると、ウィルスが命取りになるということのようだ。
それにしても、一つの巣の全体が消えてなくなるほど、ウィルスが猛威を振るうのはどのようなメカニズムによるのか、その詳細はまだわかっていないようだ。
昆虫学者の間では、ミツバチ消滅による農業への打撃を緩和させるために、多品種のハチを活用するよう呼びかけるものもいるが、これはあまり意味がないとコックス・フォスターさんはいう。
ミツバチを襲ったのと同じ伝染ルートは、ほかの種のハチにも働く可能性が高いからだ。(上の写真はナショナル・ジオグラフィック提供)
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