蜜月の終わりの始まりか:米・イスラエル関係

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上の写真(AFP提供)は、先日(5月20日)行われた、イスラエル・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と米オバマ大統領の首脳会談の一齣。会談後行われた記者会見の席上、両首脳はそっぽを向きあって、お互いの間にある気まずさのようなものを、感じさせた。

この会談の中で、オバマ大統領は、長年にわたるイスラエルとアラブ諸国との敵対関係を終了させるため、パレスチナ国家の樹立に向けてイスラエルに妥協を求め、両国の国境を1967年の第三次中東戦争以前の状態に戻すことを提案した。

これに対してネタニヤフ首相は断固拒否する姿勢を示した。表向きの理由は安全保障上のものだが、その裏には、オバマ大統領に対する根強い不信があるとみられる。一時的にアメリカと気まずい関係に陥っても、長い目で見れば、アメリカがイスラエルを見捨てることはありえないという信念があるようだ。

ネタニヤフはそれに加えて、オバマ大統領に個人的な敵意も抱いているようだ。会談の席上、ユダヤ人が歴史上蒙ってきた迫害について延々と講義したというが、その話しぶりは攻撃的な調子に満ちていたので、同席したアメリカ側の高官が立腹したほどだったという。

ネタニヤフはどうも、歴史の大きな流れを読み違えてもいるようだ。これまで自分たちが歴史上蒙ってきた迫害を根拠にして、自分たちが現在行っている他民族への抑圧を正当化できるものではない、そのことを、これまでイスラエルの庇護者であったアメリカの大統領までが考慮せざるを得なくなってきたということだ。

いずれにしても、今回の会談は、これまでの米・イスラエル関係からすれば、歴史的な転換点ともいえるものだ。


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