小笠原諸島が世界自然遺産に

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小笠原諸島がユネスコの世界自然遺産に登録された。周囲の陸地から離れて、孤立した世界を形成し、独自の動植物が進化していることが評価された形だ。これで、白神山地、屋久島、知床に続いて、日本で4か所目の世界自然遺産となる。

小笠原の自然は神秘的な美しさに満ちている。そこに独自の進化を遂げた動物たちが生きている。そんな小笠原を筆者が訪れたのは平成6年のことであった。

それは公務出張としてであった。数人の同行者とともに、竹芝桟橋から小笠原丸という船に乗り込み、まる28時間もかけて小笠原にたどり着いた。ただでさえ船に弱い筆者は、外洋の波にもまれてさんざん振り回され、それこそ船酔いどころの騒ぎではなかった。とりわけ黒潮を横切る際には、船の揺れは最高潮に達し、よほど船に強い人間でも酔わずにはいられなかった。船に弱い筆者などは、床の上に腹ばいになって、ただただこみ上げる吐き気に耐えていた次第だ。

船が父島につくと休む間もなく、今度は小舟に4時間揺られて母島に移動した。母島には黄昏が迫る頃についたと記憶している。そのまま食事もせずに布団にもぐりこんだ。

翌日母島内をジープで移動し、公務のひとつであった地価調査地点の選定などを行った。それが終わると再び小舟に乗って父島に移動した。その頃になって、やっと船酔いから覚め、食事ができるようになったことを記憶している。

父島についた次の日、小笠原の村長さんと面会して、国土法の運用に関する打ち合わせを行った。国土法と云うのは、国土の均衡ある発展を目的とした法律で、昭和の終わりから平成の初めにかけて吹き荒れた地価のバブル現象を抑制することを、主要な課題としていた。

打ち合わせが終わると、村長さんは我々に向かっていった。折角小笠原においでになったのですから、小笠原の素晴らしい自然を見て行ってください。そして東京へ帰ったら、小笠原の素晴らしさを、ぜひ宣伝してください.

こんなわけで、筆者らは小笠原町役場の総務課長さんのお世話になり、村中を案内していただいた。その中で今でも忘れられないのは、南島の自然の美しさである。決して大きな島ではなかったが、波によって浸食された岩のアーケードがあったり、青く好き通った水に真っ白な巻貝が輝いて見えたりした。

また夕闇のジャングルの中では、光るキノコを見たりもした。

筆者らが小笠原から帰ってきてからしばらくして、ここに飛行場を作ろうとする計画がかなり現実味を帯びてきた。具体的な候補地の名まであがったほどだ。しかし結局小笠原の自然を守ろうとする声に押されて、この計画は立ち消えになった。計画通り小笠原に飛行場が作られていたら、世界遺産になることはできなかったに違いない。(写真は小笠原観光協会HPから)






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このページは、が2011年6月26日 20:03に書いたブログ記事です。

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