世界最大の液状化:東日本大震災

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東日本大震災では、浦安など東京湾の沿岸部を中心に液状化の被害も問題になった。東京湾沿岸部だけでも4200ヘクタールが液状化し、住宅の被害は関東地方だけで1万7000棟にのぼった。これだけでも世界最大の液状化だったとされる。

実際の被害の範囲や規模はそれをはるかに上回るだろうといわれている。また今後発生すると思われる二次災害も懸念される。地震から4ヶ月たった現在、液状化の規模を調査し、その原因を解明し、必要な対策を講じる、この一連の作業が緊急の課題として迫っている。

液状化に関するこうした待ったなしの課題を、NHKスペシャルが追求していた。(シリーズ東日本大震災 "世界最大"の液状化)1

日本で液状化が大きな話題になったのは阪神淡路大震災のときだった。神戸の埋立地が液状化したのだった。このことから液状化といえば沿岸部の埋立地の問題だと考えられてきたが、今回は内陸部においても広範囲で液状化現象が起きた。佐原などの河川沿いの埋立地や、安孫子など沼の湿地を埋め立てて造成された土地で深刻な液状化が起きたのだ。

液状化の範囲は、岩手県南部沿岸から神奈川県の横浜にかけて500キロにも及んでいる。なぜこんなにも広い範囲で深刻な液状化が生じたのか。番組はそのメカニズムを説明していた。

地盤が液状化するには強い地震エネルギーが必要だ。通常震度6から7くらいの地震でないと液状化は起こらないとされてきた。ところが今回は震度5程度の揺れで液状化が起きている。その秘密は、揺れの程度と時間との関係にあるようだ。

神戸の時には震度7の揺れが15秒続いた。その結果地盤が一気に液状化したものと考えられる。それに対して今回は震度5以上の揺れが60秒もの間続いた。瞬間的な揺れのエネルギーは神戸のケースより下回るが、揺れの時間が長かったことによって、エネルギーが蓄積し、液状化が生じたものと考えられる。

液状化がもっとも深刻な事態につながったのは、津波の被災地だ。こうしたところでは、液状化によって地盤が緩み、建物の基礎が脆弱化したところに津波が押し寄せ、そのエネルギーで基礎杭が根こそぎにされて建物が倒壊した。これは沿岸部における避難計画に深刻な影響を及ぼす事態だ。

地盤が一旦液状化したところでは、二次災害の恐れが大きい。地盤が軟弱化した上、側方流動とよばれる地盤の移動をきたしたところでは、新たな地震に対して非常に無防備になる恐れがある。

東京湾沿岸部に広がるコンビナート地帯はほとんどが埋立地だ。こうした土地は今回の地震で液状化が進んでいると考えられる。そこへ新たな地震がやってきたらどうなるか。早稲田大学の浜田教授らは。こうした懸念が現実化しないように、徹底した調査と対策が今すぐ必要だといっている。





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このページは、が2011年7月12日 20:26に書いたブログ記事です。

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