ノルウェーの連続テロ:熱狂的個人の大量殺人

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7月22日にノルウェーで起きた連続テロ事件は、世界中の人々を驚愕させた。たった一人の人間が、わずか2時間という時間の中で、90人以上にのぼる人々を殺したからだ。それも自分の目の前にいる人々(多くは十代の若者たち)を、銃で撃ち殺すという残忍な行為によって。

犯人はアンネシュ・ベーリング・ブレイビク(Anders Behring Breivik)という32歳の男。男はまず同日午後三時頃、爆弾を積んだ車をオスロの官庁街に進入させた上で爆発させた。そしてそのわずか二時間後には、オスロから30キロ離れた湖の島ウトヤ島に移動し、そこでキャンプを張っていた労働党のユース組織の集会に侵入、参加者に向かって銃を乱射し、少なくとも85人を殺害した。オスロでの犠牲者とあわせて死者の数は92人、まだ行方不明のものが多数いることから、その数は増える可能性がある。

ブレイビクは特殊部隊によって逮捕されるまでの間、2時間近くにわたって銃を乱射し続けたということだ。その神経が筆者には到底理解できない。

動機には政治的な背景があるらしい。ブレイビクは大量のブログ記事をネット上に残していたが、そこにはイスラム教徒への嫌悪感や、彼らに対して寛大な移民政策をとる労働党政権への敵対感とあわせて、自分がテロを起こす可能性を示唆する記事も含まれていたという。こうした記事が警察当局によってマークされた形跡はないらしい。

ともかく、一個人による殺人事件としては、ノルウェーはもとより世界的にも最大規模のものだ。こうなると単なる犯罪というよりは、個人が国家に仕掛けた戦争という形相さえ呈している。

ブレイビクは警察の制服を着ることによって若者たちを油断させたり、若者たちを集める口実としてオスロでのテロ事件を利用したり、大胆不敵な行動をとっている。また、大量殺害に用いた武器をどのように調達したかについても、疑問を残している。

ここは徹底的な調査と、再発防止に向けた取り組みが、真剣になされる必要がある。(写真はロイターから)





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このページは、が2011年7月25日 20:07に書いたブログ記事です。

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