先日テレビを見ていたら、日本とフランスとの食事マナーの違いについて、興味深いレポートがあった。フランス人はコース料理が基本で、複数の料理を順番に食べていくのに対して、日本人は弁当方式で一括して配膳したうえ、複数の料理を平行して食べるということの考察だった。
フランスの学校給食の光景が写されていた。配膳は日本の学校給食のように一括方式ではなく、ひとつずつ順序に従ってなされていく。こどもたちがひと皿料理を食べ終わると一旦片付けられ、その後に次の料理が運ばれてくる。レストランでのコース料理と同じことが、学校給食の現場でも行われているわけだ。画面を見ていると、やたらに食べ残している子どもが多かったが、これはひとつの料理で腹がいっぱいになったりしたら、次の料理が食べられなくなることへの配慮かもしれない。
コース料理になじんだフランス人に日本風の弁当を出したらどうなるか。日本人なら誰でも、一括して配膳された料理のそれぞれに、アットランダムに箸を伸ばし、自分が好きなように食う。そこに決まった順序などはない。
ところがフランス人は、食卓の上に乗った様々な料理を日本人のように同時並行的に食うのではなく、自分なりに食う順序をつけて、ひとつずつ順番に食っていく。味噌汁を飲んでいるときは味噌汁だけ、刺身を食っているときは刺身だけ、といった具合だ。いったん手をつけた料理にはその後二度と手をつけることがない。やはりコース料理のマナーが、日本風の弁当にも適用されているわけだ。
さて日仏の比較を離れて中華料理についてはどうだろう。中華料理もフランス料理並みに、順番を追って皿が出てくる。その皿が空になると下げられて次の皿が出てくるのはフランスと同じだが、残っている料理を下げないように客が希望すれば、無理に下げることはない。また、テーブルの上に乗っている複数の料理は、同時並行的に食ってもよい。ここもまたフランスとは違うところだ。
なるほど食事のマナーはそれぞれの民族によって様々なんだな、そんな当たり前のことについて筆者は妙に感心してしまった。
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