亭主の浮気なんて気にしない:ストロスカーン夫人アンヌ・サンクレール(Anne Sinclair)

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「亭主の浮気をいちいち気にはしていられないわ。男が女にもてるのは、男の甲斐性よ。女にもてない男は、男としての魅力がないわ」こう語るのは、セックス・スキャンダルの主人公ストロス・カーンの細君アンヌ・サンクレール(Anne Sinclair)女史だ。

サンクレール女史は、亭主のセックス・スキャンダルの報に接したとき、怒ったり恥じたりするどころが、毅然として亭主の無罪を主張した。それも、亭主のやったことは犯罪などではなく、男として当たり前のことをしたまでのことと主張したのだった。

女史は即座にアメリカに赴き、亭主の保釈金を支払ってやったり、法廷闘争の拠点としてゴージャスなマンションを用意したりした。亭主の無罪を勝ち取るまでは徹底的に戦うぞという姿勢を示したのだ。

女史をここまで戦闘的にさせるのはいったいどんな類の情熱なのだろう、筆者などは頭を抱え込んでしまうところだ。

セクシャル・ハラスメントを巡るアメリカとフランスの文化的背景の相違が、まず考えられる。アメリカ人は、女性に対する男性の横暴に対して非常に神経質なのに対し、フランス人は男女関係について、男が多少だらしなくとも鷹揚に受け取る傾向が強い。少しぐらいの浮気なら目くじらを立てたりしないし、男が仮に妾をつくっても重大な結果になるとは限らない。あのフランソア・ミッテラン大統領にしたって、妾に子供を作らせていたではないか。

また、フランス人は地位の高い人間が地位の低い人間に対して多少の無礼を働いても問題にしない傾向があるという。身分の高い人間がホテルのメードを相手に多少のいたずらをしても、それは他愛ない遊びなのだから、目くじらを立てて騒ぎ立てるほどのことではない、こう考えるわけだ。

今回のスキャンダルには、一時政治的な匂いも立ち込めた。フランスの次期大統領として有力視されていたストロス・カーンが、政治的な罠にはめられたという観測が出回ったのだ。

こんな複雑に入り組んだ事情を背景にして、サンクレール女史は断固亭主を守るために立ち上がった次第だと、フランス国民に広く受け止められている。女史の行為はフランス人の妻としてはごく当たり前のことのようなのだ。

サンクレール女史は、TF1の女性キャスターとして、絶大な人気を誇っていた。そんな女史にストロス・カーンが惚れ込み、数年越しのちょっかいの挙句に結婚したいきさつがある。

二人はフランス人の間では、ゴールデンカップルとして受け止められている。ストロス・カーンは次期大統領に最もふさわしい男とみられていたし、サンクレール女史の方も、サルコジ大統領夫人より有名人だ。

二人はともにユダヤ人だが、そんなことはハンデにならないほど、すさまじい人気があるというわけだ。フランスのユダヤ人社会では、ドレフュス事件の意趣返しができると大いに期待していたフシがあるが、今回のスキャンダルでぶち壊しになってしまった、こんな無念さが広がっているそうだ。





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このページは、が2011年8月 7日 20:32に書いたブログ記事です。

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