欧米の株式市場が下落傾向を強めている。4日のニューヨーク市場では、ダウ平均が500ポイント(4,31パーセント)を超える下落となり、一日の下げとしては、金融危機のさなかの2008年12月1日(679ドル95セント)以来の大きさとなった。
アメリカの債務上限をめぐるゴタゴタ劇が投資家のマインドを冷やしたこともあり、ここ10日のうち9日が下落したことから読み取れるように、トレンドとしては弱含みが続いていたわけだが、それが一段と鮮明になったかたちだ。
投資マインドを冷やす要因として、二つのことが指摘される。ひとつはEU諸国の財政危機、もうひとつはアメリカ経済の減速だ。
EU諸国の財政危機は、アイスランド、ギリシャ、ポルトガルに続き、スペインやイタリアにも波及するのではないかと懸念されている。イタリアのような大国がデフォルトに陥るようなことになれば、EUの枠組み自体が崩壊する危険性もある。これが投資家に強いリスク圧力になっていることは間違いない。
アメリカ経済の減速には、さまざまな要因が絡んでいるが、そのひとつとして政治の迷走があげられる。オバマ大統領は野党の共和党に対して、債務上限の引き上げを飲ませる見返りに、大幅な歳出カットを約束せざるをえなかったが、そのことが投資家の目には政治の指導力低下の象徴として映ったのではないか。
増税をせずに歳出カットだけで財政赤字を減らすためには、大幅な事業縮小を実施しなければならない。そのことは結果的に貧乏人への所得移転を減らす効果をもたらすだろう。これは世の中全体の金回りがわるくなることを意味する。金回りがわるくなれば景気が悪くなるのは必然というもの。仕事が一層減り、失業者があふれる。こんなマイナスのシナリオが実現しつつあるのではないか。こうした観測が市場のマインドを冷やしているわけだ。(写真はAPから)
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