8月2日のタイムリミット寸前までもめていた米債務上限問題について、民主・共和両党の間で妥協が成立し、当面は連邦政府によるデフォルトや国債格下げといった事態は回避される見通しとなった。
妥協の内容は、今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を解消する代りに、債務の上限を現在の14.3兆ドルから更に2.1兆ドル引き上げるというものだ。
これによって、オバマ政権は少なくとも来年の大統領選挙までは債務の上限を気にせずに政権運営できる見通しがつき、この問題が選挙の争点になることを恐れないですむようになった。他方共和党側は、増税なしの赤字削減という目標を盛り込むことで、自分たちの主張を通すことができた形だ。
いってみれば痛みわけのような妥協だといえるが、今後どのようにして財政赤字削減をしていくかについて、オバマ政権側に課された宿題は重い。
今回この問題がここまでもめた背景には、共和党内のティー・パーティ勢力による突き上げがあったといわれる。この勢力は、富裕層への増税に断固反対し、メディケアやメディケイドなど貧乏人に対する優遇策に極端なアレルギーを示してきた。
そして自分たちの主張を通すために、ありとあらゆることをやった。その結果アメリカ政治が機能不全に陥ったり、アメリカ経済の雲行きがあやしくなったりしても、そんなことは気にもかけなかった。
こんな風に分析しているのは、リベラリストのポール・クルーグマンだ。彼は、こうした連中が国の政策に重大な影響を及ぼすようになったのは、アメリカの未来にとって不幸なことだ、とまでいっている。(写真はロイターから)
関連記事:オバマの堪忍袋
コメントする