悪女フリート:ブリューゲルの世界

| コメント(0) | トラックバック(0)

412.griet.jpg

「悪女フリート」は、フランドルの説話に出てくるキャラクターだ。地獄の入り口に立って、やってくる人々を待ち構え、彼らから身ぐるみをはぐという、とてつもない女のことだ。ブリューゲルはこの悪女を題材にして、この絵を描いた。

画面ほぼ中央で鎧をまとい右手に剣を持っているのが悪女フリートだ。左手には略奪したものをいくつか抱えている。視線の先には巨大な口が描かれているが、この口は地獄の入り口のメタファーだ。

フリートの背後には、仲間の女たちがそれぞれに略奪を働いている。彼女らが略奪しているのは、自分の亭主だという説もある。

フリートのやや右上に描かれている男は頭上に船を担ぎ、尻をむき出しにしている。尻には穴があいていて、そこには糞便の代わりに石炭が詰まっている。男は右手で持ったシャベルでその石炭を掻き出そうとしているが、そこにどんな目的が込められているのか、筆者にはわからない。

この絵にも、ボス的な奇怪なイメージがたくさんちりばめられている。中でもスプーンをくわえた肛門などは、もっともユーモラスなものだ。

(1562年、板に油彩、117×162cm、アントワープ)


関連サイト:
ブリューゲルの世界
ブリューゲルの版画





≪ 反逆天使の墜落:ブリューゲルの世界 | 美を読む | 死の勝利:ブリューゲルの世界 ≫

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/3371

コメントする



アーカイブ

Powered by Movable Type 4.24-ja

本日
昨日

この記事について

このページは、が2011年8月 8日 19:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「亭主の浮気なんて気にしない:ストロスカーン夫人アンヌ・サンクレール(Anne Sinclair)」です。

次のブログ記事は「生かされなかった極秘情報:広島・長崎への原爆投下」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。