新種の猛禽型恐竜(Raptor Dinosaur)の化石がアメリカ・ユタ州の白亜紀後期の地層の中から発見された。タロス・サンプソニ(Talos sampsoni)と名付けられたこの恐竜は、7600万年前の北アメリカに生きていたと推測される。当時の北アメリカは、浅い内陸水路によって、西の「ララミディア」と東の「アパラチア」という二つの部分に分断されていたと考えられている。
古脊椎動物学者で研究チームのリーダー、リンジー・ザノ氏によれば、この恐竜は「鳥に似た小型の捕食恐竜、獣脚類トロオドン科に属し、北アメリカでの発見例は非常に珍しい」とのことだ。
たしかに恐竜としては小さいかもしれないが、全長2メートルはあるというから、鳥としては大きい。もっともこの恐竜が今日の猛禽類の直接の祖先筋に当たるかどうかは、今後の研究に俟たねばならない。
この個体は、後脚の第二趾つまり人差し指にあたる部分に骨折の跡があった。もし鉤のようにするどい形のこの指が捕食活動に不可欠だったとすれば、生きていくうえでの深刻なダメージになったに違いないが、この個体は怪我をしても飢え死にすることはなかった。もしかしたら、雑食だったのかもしれない。
またこの怪獣は二足歩行をしていたが、その際にこの指が重要な役割を果たしていたとしたら、まともには歩けなかっただろう。ところが、この個体は怪我をしても、歩き続けていたフシがある。もしかしたら、この指は歩行には使われていなかったのではないか。
以上のようなさまざまな疑問がわき出てきて、研究者たちはその説明のために、想像力を張り巡らせているそうだ。(写真はナショナル・ジオグラフィックから)
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