墓碑銘(L'Épitaphe):ロベール・デスノス

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ロベール・デスノスの詩集「Contrée (1944)」から「墓碑銘(L'Épitaphe)」(壺齋散人訳)

  この時代に生きた私はもう100年も前に死んでいたのだ
  それは零落してではなく追い詰められてのことだった
  だがすべての貴族たちが囚われの身であったときに
  私は奴隷たちの中にあって自由であることができた

  この時代を生きた私はそれでも自由であり続け
  川の流れや大地や空を眺めては
  自分の周囲で自然が平衡を保ち
  季節ごとに鳥が飛び交い蜜が熟すのを見た

  君はこうした世の移り行きをどう感じるかい?
  君は私が悪戦苦闘してきたことを残念に思うかい?
  君は公共の目的の為に汗することができるかい?
  君は私が暮らしていた街を豊かにしてくれるかい?

  生き残ったものたちよ 私を恐れる必要はない
  死に去った私は この世には何の痕跡も残さないから


L'Épitaphe

  J'ai vécu dans ces temps et depuis mille années
  Je suis mort. Je vivais, non déchu mais traqué.
  Toute noblesse humaine étant emprisonnée
  J'étais libre parmi les esclaves masqués.

  J'ai vécu dans ces temps et pourtant j'étais libre.
  Je regardais le fleuve et la terre et le ciel
  Tourner autour de moi, garder leur équilibre
  Et les saisons fournir leurs oiseaux et leur miel.

  Vous qui vivez qu'avez-vous fait de ces fortunes ?
  Regrettez-vous les temps où je me débattais ?
  Avez-vous cultivé pour des moissons communes ?
  Avez-vous enrichi la ville où j'habitais ?

  Vivants, ne craignez rien de moi, car je suis mort.
  Rien ne survit de mon esprit ni de mon corps.


関連サイト:フランス文学と詩の世界 ロベール・デスノス





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