政府がFX次期主力戦闘機の選定を、米英など9か国が共同開発したF-35に決定したことに批判が出ている。
一番問題となったのは、これがまだ開発途上で不確実な点が多いということだ。防衛省では年次計画上16年度からの納入を予定していたが、早くとも18年度以降でなければ完成しないという。これでは防衛計画に穴があく心配があるが、政府はそうした心配にろくな配慮もしないままに、決定を急いだらしい。
だがそれよりも大きな問題なのは、F-35は従来機と違って、レーダーや電子装置といった頭脳部分に、日本の企業が参入できないことだ。
防衛ジャーナリストの清谷信一氏によれば、F-35はブラックボックス化されている部分が多いうえ、日本国内での組み立て作業も米国側が管理し、日本人は排除されるはずという。そうなれば防衛産業の製造基盤は衰退する。実質的に国産戦闘機の生産から撤退させられるはめになるというのだ。
こんなに深刻な問題をはらんでいるにかかわらず、政府側(防衛省)は、国内の防衛産業に一切説明をしてこなかったらしい。その結果、企業としては不意打ちを食らう形で、無駄な金を使わされるはめにもなる。
アメリカではこんなことは考えられないと、氏は言う。開発規模や期間、開発費を含む計画が慎重に検討され、それが議会の承認を受けて、国とメーカーが契約を結ぶ。メーカー側はこうした国の動きを十分に配慮しながら、生産計画を進めていくといった具合だ。
防衛産業も自国防衛の重要なプレーヤーとして位置付けられているわけだ。
ところが日本の場合には、防衛省が防衛産業にそれなりの配慮をしている様子はない。これは日本の防衛のあり方からして大いに問題がある、と氏は憂慮しているわけなのだ。(写真はF-35A:ウィキメディアから)
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