日本は敗戦国であることを自覚せよ:ロシア外相ラブロフの来日

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ロシア外相ラブロフが今月末から6日間の予定で来日するのを前に、日本はどのようなスタンスで彼をもてなすべきか、その要諦について、ロシアの政府系新聞プラヴダが忠告してくれている。

プラヴダはまず、先日の玄場外相による北方領土視察を取り上げ、それが馬鹿げたパフォーマンスであることを強調する。日本の政治家は全く馬鹿な奴らだというわけだ。日本人は第二次大戦終了後、もはや60年以上も過ぎているのに、第二次世界大戦で生じた国際的な秩序を理解していないというのがその理由だ。

だいたい戦争の結果生じた領土の移動にかんして、それを不法占領だなどと云われる筋合いは、ロシア側には全くない。南クリルがロシア領に移行したのは、第二次世界大戦の結果に基づいた必然的な結果だったのである。敗戦国である日本が、そのことに異議を唱える理由はない。

だいたい、戦争の結果としての領土の変更は日ソ間で生じただけではない。それは終戦処理と云う形で、さまざまな地域で合法的になされてきたことだ。それなのに、南クリルに関して合法性に疑問を呈し、現状の再検討を認めるということは、ロシアにとっては、中国、エストニア、フィォンランド等との間にある領土上のわだかまりにも火をつけることにつながる。そんなことは、ロシアにとってはナンセンスでしかありえない。

百歩譲って日本の主張に耳を傾けるにしても、ロシア側はその前提として、固有の領土の返還を叫ぶ日本の無神経なやり方は撤回してもらいたい、せめて新たな取り決めに伴う領土の移管に応じて欲しいといえ、プラヴダはそう息巻く。つまりロシアによる北方領土の領有を合法的なものと認めたうえで、それの日本への如何を乞えというわけだ。

もっとも、そんなことを乞われても、ロシアの人民は納得しないよ、こうプラヴダは念押しする。

つまり、ロシアには南クリルを日本に渡すつもりは毫もない。日本は、そんな馬鹿げたことにいつまでもこだわっていないで、もっと実利的な政策を追求すべきだ。

南クリルの開発を日露共同で行おうではないか。それが実現すれば、ロシアとしては日本との幅広い経済協力に道を広げることができる。そうすれば日本も、ロシアの豊かな資源を経済成長の起爆剤として利用することができるではないか。そのほうが、南クリルの問題に固執するよりどんなにメリットがあるか、日本のバカな政治家でもわからぬではないと思うのだが、それでもわからないのでは、救いようのない連中と見放す羽目にも陥ろうというものだ。

日本人の中にも、三井をはじめ経済界の人々は、政治家よりずっと利口だ。彼らは何が利益で、何が不利益か、よくわきまえている。日本の政治家たちも三井の爪の垢を煎じて飲むべきだ。

そうしないで、いままでどおりの馬鹿げた主張を繰り返すなら、ロシアは日本を相手にしないだろう。

以上がだいたいプラヴダの記事の論旨だ。ラブロフも無論同じ考えのはずだ。その彼はもうすぐ日本にやってくる。昨年前原さんが日本の外相としてロシアを訪問した際、餓鬼扱いしたラブロフのことだ。今回の訪日の帰還中、どのようなパフォーマンスを見せるつもりか、興味深い。

さて野田さん、どうなさるおつもりか。





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このページは、が2012年1月28日 19:13に書いたブログ記事です。

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