巨大地震(Megaquake)の発生はどこまで予想できるか

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先日首都直下型地震のシミュレーションが公表され、つづいて南海トラフを震源とするマグニチュード9クラスの地震のシミュレーションが公表された。関東から九州にわたる広大な範囲で、最大震度7になると予想される地域が沢山生じ、津波の高さも最大34メートルにもなるだろうという予測に、筆者などは息を飲んだものだ。

これらの公表に先立って、日本列島の太平洋側では、今後数年以内にマグニチュード7クラスの大地震が発生する確率が70パーセントだなどと発表されてもいた。

地震の危機はそれほど、逼迫し、かつその被害はすさまじいものになる可能性が高いのか。

4月1日の夜に放送されたNHK番組「MEGAQUAKEⅡ 巨大地震 第1回 いま日本の地下で何が起きているのか」が、そんな疑問にある程度答えてくれていた。

3月11日の地震は、膨大な科学的データを残した。このデータが不幸中の幸いとして、今後の地震予測にとって重要な情報をもたらしてくれる。それを有効に活用すれば、大地震の発生メカニズムがより明らかになり、したがって予想もそれだけ正確になるというのだ。

日本列島の太平洋側で発生する地震の殆どが、太平洋プレートと呼ばれる岩盤と、日本列島を乗せている岩盤との、衝突、摩擦などの相互作用によっておこることは分かっていた。要は、その衝突や摩擦がどのようにして生じるかを突き止めることだ。

岩盤同士の接触面のなかで、摩擦が極大化する地点をアスペリティというらしいが、そのアスペリティの規模や活動の特徴を知ることができれば、それが引き起こす地震の特徴も明らかになる。

今回に関していえば、最初に、存在が知られていたアスペリティの一つがマグニチュード7くらいの地震を引き起こした。するとそのエネルギーが、今まで知られていなかった巨大なアスペリティを刺激して、巨大な地震を引き起こした。その後その巨大地震のエネルギーが、周辺部のいくつものアスペリティを刺激して地震の連鎖を引き起こし、結果としてマグニチュード9の、巨大で時間の幅が長い、未曽有の地震につながった、ということが突き止められた。

この巨大地震の影響で、日本列島の地下の構造は劇的に変化したと予想されている。その実態は誰にもわからない。わかっているのは、3月11日以降、日本列島全体が活発な地震活動を呈するようになったことだ。これが新たな巨大地震の引き金にならないとも限らない、地震の危機は切迫した問題になっている、というのが大方の評価だ。

専門家によれば、地震の活動はある程度チェックできるような段階に、今はなってきたという。アスペリティの動きは地盤の変動を通じて知ることができるが、その変動の状況はGPSを活用すれば追跡することができる。

また、日本だけではなく、地球規模で地震活動が活発な時期に、現在は差し掛かっているという報告もある。2000年以降、2004年のスマトラ地震、2010年のチリ地震といった具合に、巨大地震が相次いでいる。したがって、地震データの追跡も、国際的な規模で行う必要がでてきているという、

ともあれ、3.11のような悲劇は二度と繰り返してはいけない。なかでも、地震がきっかけで原発事故が起きたというような、明らかな人災は繰り返してはいけない。

先日の南海トラフの地震シミュレーションで、中電の浜岡原発には10数メートルの津波が襲来するとした報告をめぐって、中電は大丈夫ですといったそうだが、何故大丈夫といえるのか、その根拠は明らかでなかった。おそらく、大丈夫であってほしいという願いが、大丈夫ですという言明に入れ替わったのだと思うが、願望を事実と取り違えてもらっては困る。(映像はNHKから)





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このページは、が2012年4月 3日 19:03に書いたブログ記事です。

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