2012年5月アーカイブ

新藤兼人監督といえば、戦後日本映画の生き証人のような人だった。昨年は100歳を目前にして、映画「一枚のはがき」を世に送り、現在を生きる人々をも感動させた。筆者も感動して涙を流した一人だ。その新藤監督が死んだ。100歳になっての大往生だった。

熊野三山は、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社からなる。三社合わせて熊野権現ともいうとおり、日本における権現信仰の総本山ともいえるものだ。権現とは仏が神の形をとって現れたとする信仰形態であり、神仏習合の究極のあり方である。

小澤征爾さんと村上春樹の対談集の中のグスタフ・マーラーについて語られた部分が刺激になって、さっそくマーラーの交響曲第一番のCDを買ってきて聞いた。それも彼等が特にこだわっていた演奏であるサイトウ・キネン・オーケストラの音だ。たしかに面白い。聞いてみての印象と彼らの発言をあらためて照らし合わせると、その面白さがいっそう楽しい面白さになる。筆者はいままでマーラーなど聞いたことがなかったのだが、今回聞いてみて、今まで聞かなかったことでたいへん損をしたような気持ちになったものだ。

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アメリカにも「口先番長」と呼ばれる男がいるそうだ。不動産王として知られるドナルド・トランプだ。この男は自己顕示欲が強いことで有名で、たびたび大統領選への出馬を表明しては、ひっこめてきた。そんなことから「口先番長」と罵られるようになったらしい。

二日目は熊野三山に向けての長旅。ひたすら走った後、熊野の速玉大社と那智大社に詣で、その途中に熊野古道の切れ端を歩こうという趣向だ。

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能「自然居士」は「百萬」と並んで観阿弥の傑作といわれる作品である。自然居士とは説経節を語って歩く乞食坊主のことで、寺院の門前などで茣蓙を敷き、その上でササラをすすり鞨鼓を打ちながら、説経あるいは念仏を語って聞かせる一種の旅芸人である。

あひるの会の今年(2012年)の新年会の席上で、次は熊野古道を歩こうということに決まった次第は、このブログでも紹介したところだ。その折、静ちゃんあひるは、山道を歩けるかしらと不安がっていたのだったが、その不安を取り除いてやる意味でも、あまり歩かずにすむコースをあれこれと検討した結果、お伊勢さん、熊野三山、高野山と、紀伊半島の見どころを回りながら、そのついでに熊野古道の端くれも歩いてみようという、なんとも贅沢なツアー旅行をすることになった。

ミッドウェー海戦は、日本にとって太平洋戦争の命運を左右する分岐点となった戦い。この闘いで日本海軍は歴史上初めて負け戦を喫した。しかも戦力の上では圧倒的な有利を誇っていたにもかかわらず、作戦上の隙を米軍につかれ、本来日本海軍の得意とした奇襲攻撃を米軍に許して、散々な敗北を喫した。いいところが全くなかったのである。

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ボスの大作はほとんど祭壇画として描かれた。それも三連祭壇画(トリプティック Triptychs)といって、三連式のものだ。これは、中央にキリストの生涯や聖書にある重大な事件を描き、両脇にはそれを補完するようなイメージを配置するのが普通なのだが、ボスの場合には独特の構成を編み出した。左翼に天国を、中央部にテーマとなるこの世での出来事を、右翼に地獄を描くのだ。だからボスの三連祭壇画は、普通のものとは違って、左から右へと視線を走らせるように強いられる。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「かわせみ(Le Martin-pêcheur)」(壺齋散人訳)

  マル マル マルタンが
  朝寝からおきると
  かわせみのマルタンが
  うたた寝から目覚めると

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虎丘は蘇州のランドマークのひとつ。蘇州城外西北の小高い丘の上に、塔が立っていて、蘇州の町から良く見える。この絵は、その虎丘の塔の佇まいを遠望して描いたものだ。

G8はギリシャが是非ユーロに留まるよう異例の熱いメッセージを発したが、本当にそう思うのなら、ドイツや北欧圏の豊かな国々が、救いの手を差し伸べねばなるまい。口先だけでは、物事は進まないからだ。もし、必要な救済措置が取られないようなら、ギリシャのユーロ離脱は不可避となるだろう。そうなった場合に果してどんな事態が待ち受けているか、さまざまなシミュレーションがなされている。筆者も、筆者なりのシミュレーションをしてみた。

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「中国大学入試、繁体字など非規範文字の使用厳禁」という見出しの記事が人民網の日本語版にあったので、興味を覚えて読んだところ、驚いたというか、中国人のおおらかさを感じとって、微笑を禁じ得なかった次第だ。

村上春樹の「小澤征爾さんと音楽について話をする」を、非常に興味深く読んだ。とにかく面白いし、また勉強にもなる。村上春樹が音楽好きなことは良く知られているようだが、それにしてもよく知っている。音楽の専門家たる小澤さんが舌を巻くほどだ。それでもって、小沢さんから音楽についての様々なことを聞き出している。それらのなかには小澤さん自身が日頃意識してこなかったことで、村上から水を向けられて初めて言葉になったようなこともあるという。

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小名狂言というのは、主従の物語のうち、太郎冠者がシテとなるものである。それに対して主人がシテとなるものを大名狂言と称する。小名狂言には、主従二人だけの話もあれば、それに第三者が加わるものもある。「素袍落」では、この第三者が主人以上に大きな役割を果たす。太郎冠者は第三者たる伯父御とのあいだで、当意即妙の笑いの世界を繰り広げるわけである。

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写真(NASAから)はみずがめ座にある螺旋状の惑星状星雲 NGC7293。 NASAの紫外線宇宙望遠鏡GALEX(Galaxy Evolution Explorer)が観測したものだ。

フィリピン戦線の山場はバターン半島を巡る攻略になった。日本軍は開戦と同時にフィリピンのアメリカ軍基地を攻撃し、その戦闘能力をほぼ破壊した。これに対してアメリカは、早々とマニラ防衛を放棄して、バターン半島南部に篭城し、マッカーサーの司令部はマニラ湾の入り口にあるコレヒドール島の要塞に置かれた。フィリピンのケイソン大統領もマッカーサーと行動を共にした。

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NHKスペシャル「宇宙の渚」第二集は、「天空の女神 オーロラ」。宇宙飛行士の古川さんが、国際宇宙ステーション(ISS)滞在中に出あったオーロラの美しい映像を紹介しながら、オーロラ発生のメカニズムや地球への影響などについて解説していた。

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中世の人々にとって死は身近な出来事だった。個人的な不幸な死があり、疫病による集団的な死があり、また戦争や宗教的対立による無残な死があった。死はいたるところに充満していたのである。それ故、人々はわざわざ注意を向けなくとも、常に死の方から人々を訪ねてきたのだが、それでもなお、死を注目し、常に死について思いをめぐらさずにはいられなかった。中世末期のもっともよく知れ渡った格言とは「メメント・モリ(死を想え)」だったのである。

5月21日午前7時半過ぎに、首都圏でも金環日食が見られるというので、筆者も家内に用意してもらった太陽グラスを手に、待ち構えた次第。なにしろ、首都圏で金環日食が見られるのは、筆者が生まれて初めてのことだというから、よほど貴重なチャンスだったわけである。

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アメリカのキャンプ・デーヴィッドで行われた今年のG8は、ユーロ危機と世界的な経済不況が最大の問題となった。共同声明では、財政健全化と並んで経済成長の重要性が謳われ、また、ギリシャがEUから離脱しないように呼びかけるなど、異例のメッセージも目立った。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「カマレオン(Le Lézard)」(壺齋散人訳)

  岩陰のトカゲ
  壁を這うトカゲ
  畑にいるトカゲ
  時計台のトカゲ

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アメリカ映画「ファミリー・ツリー(Descendants)」を見た。ファミリー・ツリーといっても、先祖探しの話ではない。寝取られ亭主の話だ。最愛だと思っていた妻がボート事故で重体に陥り、二人の娘を残して死にゆく事態に直面した亭主が、妻が実は他の男と浮気をしていたということを、ほかならぬ自分の娘から聞かされる。そこでショックに見舞われた亭主が、娘たちと一緒に妻を寝取った男の行く方を追っているうちに、次第に父娘の連帯感を醸成していくという、なんだか訳のわからない筋書きの映画なのだ。しかし、訳が分からないなりに、面白く作られている。

2000年代10年間前半の小泉政権時代に展開された所謂小泉・竹中構造改革路線に、金子勝氏は手厳しい評価を下している。その論点を大まかに言えば、アメリカによるグローバリゼーションの要求に盲目的に追随したために、日本経済を大きく毀損し、失われた10年を更に延長させて、失われた20年にしてしまったというものである。

元祐七年(1092)二月、蘇軾は頴州から揚州の知事へ転任した。赴任の道中、彼は下の息子二人を伴って安徽省の所々を視察旅行した。すると、麦畑が青々と広がっているのに、人々の姿が見えないことを不審に思った。聞けば農民は借金の取り立てを恐れて夜逃げしたのだという。

「イスラム市民への無差別攻撃 可能」と題する「朝日」5月18日付朝刊一面の記事を読んで暗澹たる気持ちにさせられた。米軍幹部の教育機関で、イスラム教の聖地やイスラム教徒の一般市民に対して、広島や長崎への原爆投下や東京大空襲のような無差別攻撃が容認される、という内容の授業が行われていたというのだ。

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錦渓の古鎮ができたのは南宋時代のこと。ウィキペディアの解説によれば、「1162年(紹興32年)、南宋孝宗の愛妃陳妃がこの地で病死し、妃が愛した五保湖で水葬され、湖に陳妃水家が造られたことに因んで「陳墓」と呼ばれていた。また、菩提のため孝宗は蓮池禅院を建立した。以来800年間陳墓と呼ばれたが、1993年美しい水郷を保存しようと旧名に復した」

金子勝氏は1990年代以降の世界経済を牽引してきたグローバリゼーションの動きに、一貫して批判的な態度を取ってきた人だ。1999年に現した著作「反グローバリズム」は、そんな氏の考え方をまとめた本だったというが、それから10年経過した後、2008年のリーマンショックに始まる世界金融恐慌を踏まえて、グローバリゼーションの破綻が必然的なものだったことを論証したのが、「新・反グローバリズム」だ。グローバリズムとはグローバライゼーションを錦の御旗に掲げるアメリカの新自由主義たちの方向性を、金子氏流儀に表現した言葉だろう。

1Q84は、村上春樹という物語作家がたどりついた、物語のひとつの到達点といってもよいだろう。物語が語るそもそもの中身、物語を語り進める仕掛け、そして物語を語るその語り口、色々な面でこれまでの村上の物語のあり方を集大成している。

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先日の総選挙結果を踏まえて、ギリシャでは上位三党を軸とした連立協議がうまくいかず、パプリアス大統領が調整に乗りだしたが、それも失敗、結局6月半ばに再選挙ということになった。再選挙になれば、緊縮財政に反対して今回第二党に躍進した急進左派連合が更に票を伸ばすことが予想され、ギリシャのユーロ離脱が一層現実味を増すこととなる。

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シーシェパードといえば、南極海で調査捕鯨に従事している日本の船団や、和歌山県太地町の捕鯨関係者に暴力的な妨害行動をしているのをはじめ、地中海など様々な海に出没しては、暴力的な手段を用いて、彼らの気に食わない漁業活動を妨害してきた。そのやり方はあまりにもひどく、障害沙汰に発展することもしょっちゅうだ。そこで日本政府も、2010年に、彼らによる日本人への傷害事件に関して、指導者であるワトソン氏を国際手配していた。

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能「三笑」は中国の故事「虎渓三笑」を題材にしたものだ。「虎渓三笑」の出典は「盧山記」。儒、仏、道の三賢者が一同に会して話をしたところ、お互いに尽きせぬ興味を感じ、すっかり夢中になってしまった挙句、日頃の自戒を忘れて羽目を外し、互いに大笑いしたというものだ。

先日発表されたJPモルガンの巨大損失に関連して、ポール・クルーグマンは、それが金融機関による相変わらずの投機熱がまたぞろ失敗した結果だとして、金融規制の必要性を改めて主張している。以下、彼がニューヨークタイムズのコラムに寄せた小論を、そのまま引用する。

今年(2012年)は沖縄の祖国復帰から40年目にあたる節目の年だというので、メディア界では様々な特集が組まれているようだ。雑誌「世界」の6月号も、「沖縄<復帰>とは何だったのか」と題して、特集を組んでいる。その中で、沖縄のジャーナリスト新川明氏が「40年目の感慨」と題して、沖縄「復帰」の意味を再検討していたのが、印象に強く残った。

シンガポール攻略は南方作戦の中でもっとも重視された作戦だった。シンガポールは何と言っても、大英帝国の最大の拠点である。ここを叩けば、日本は南方海域に橋頭保を築くことができ、逆にイギリスは最大の拠点を失うことになる。そのことでイギリスの戦意を消滅せしめ、早期決戦という日本の思惑が現実化する可能性がある。

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盲目の人権活動家陳光誠氏の米大使館亡命事件をめぐって中国における人権の状況が改めて世界中の関心を呼んだところだが、それと関連して、中国には人権を侵害された人々がその回復を願って、皇帝に直接陳情するという一種の政治文化があったということを、最近のNewsweekの記事が紹介していた。Waiting for Justice in Beijing : Photographs and Text by Sim Chi Yin

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JPモルガン・チェースが金融デリバティブの取引を通じて20億ドルの巨額損失を出したことをめぐって、大きな波紋が起きている。オバマ政権の金融規制当局のメンバーで、マサチューセッツ州選出民主党下院議員候補者のエリザベス・ウォーレン女史は、JPモルガン・チェースを激しく批判し、「巨大銀行がリスクの多い取引に血眼になり、失敗すると国民の税金で救済してもらい、ほとぼりがさめるとロビー活動を行って規制を緩めさせる、こういったやり方は許せない」と憤っている。

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七つの大罪はそれぞれ互いに響きあうものを持っているが、なかでも大食と邪淫は深いかかわりを持つと信じられていた。そのことは中世の諺「バッコスがいなければヴィーナスもかたなし」に示されている。ボスはそんな観念に基づいてこの絵を描いたのだと思われる。

我が母の記

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映画「我が母の記」を見た。井上靖の自伝的小説を下敷きにしたものだそうだ。筆者は、井上靖の小説は若い頃に歴史ものを数編読んだきりで、彼が好んで書いたという自伝小説の類は読んだことがなかったので、この映画も、井上靖への関心の延長としてではなく、あくまでも母と子のあり方を描いた一篇の映画として受け止めた。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ヒョウ(Le Léopard)」(壺齋散人訳)

  森の中では
  ヒョウに気をつけな
  声もたてずに
  いきなり現れるから

元祐六年(1091)都に召された蘇軾は政敵からの攻撃が煩わしくなり、地方転出を強く願い出た結果、その年のうちに頴州の知事となって転出することができた。

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オバマ大統領が同性婚を支持する発言をした。大統領選に向けての戦術と解釈されているが、その効果については二通りの見方がある。

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昨年(2011年)の11月に、7泊8日の日程で中国江南地方の古鎮めぐりを行った。旅行会社主催のツアーだから、気楽な旅になった。黙っていても、自分から動かなくても、言葉がしゃべれず、土地の知識がなくっても、旅行会社から派遣されたガイドが、見どころを案内してくれるというわけなのであった。

東電の一時実質国有化が決まった。福島原発事故の損害倍賞および再建に向けて東電が作成した「総合特別事業計画」を政府が認定し、その中で、政府が一兆円を出資して、50パーセントを超える議決権をもつことが決まったからだ。この計画では、家庭向け電気料金の平均10パーセント以上の値上げ、柏崎刈羽原発の2013年4月からの稼働を、併せて盛り込んでいる。

「1Q84」の中に出てくる二つの謎の集団「さきがけ」と「あけぼの」。「さきがけ」は新興のカルト教団ということになっており、「あけぼの」はそこから分派した左翼冒険主義者たちという設定だ。一見して「さきがけ」はオウム真理教を彷彿させ、「あけぼの」が巻き起こす騒動は「あさま山荘事件」を思い起こさせる。しかしそこに、パラレルな相似性があるわけではない。オウム真理教事件も浅間山荘事件も、単なるヒントくらいの扱いをされているに過ぎない。

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いたずらをしてママに怒られたマックス少年が、夜ご飯抜きで部屋に閉じ込められている間に、冒険の旅に出発する。旅先でマックス少年は、様々な怪物たちと遭遇して、奇妙奇天烈な冒険をする、そして冒険の果てに、暖かい夜ご飯が待っているママのところに戻ってくる、これはまさしく、オデッセイの物語と同じ、壮大な冒険の物語だ。小さなマックスの雄大なオデッセイの旅。それがモーリス・センダック(Maurice Sendak)の代表作「怪獣たちのいるところ」が描く世界だ。

アメリカをベースにする人権保護団体 Freedom House が、最新版の世界人権状況白書のなかで、ロシアを172番目にランクづけたことに対して、プラウダ英語版のウェブサイトが大いに反発する記事を載せている。Freedom House produces more rubbish about Russia

日本語は比較的に変化の激しい言語に属しているとは、筆者もかねがね思っていたところだ。徳川時代に書かれた近松門左衛門や井原西鶴の文章を、たとえば村上春樹の書いた文章と比較してみれば、わずか300年くらいの時間の流れの中で、日本語の表現が随分と違ってきたことが納得されよう。ジョン・ダンの書いた英語が現代イギリス人にも身近に理解されるのとは、かなり違うことだけはたしかなようだ。

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プーチンが5月7日にロシアの大統領職に就任した。先の憲法改正で、一期6年で二期までとなったので、プーチンは最大12年間、2024年までロシア大統領であり続ける可能性がある。

民主党の岡田副総理が私的に設置した「行政改革に関する懇談会(岡田行革懇)」に、野田総理大臣までのこのこ顔を出して、「行革には懸命に取り組んできたつもりだったが、国民の声はよりいっそう改革を行えというものだ」と挨拶し、行革に向けて大胆な意見を出してほしいと要望した。

真珠湾攻撃、マレー作戦、フィリピン侵攻など、太平洋戦争の初戦においては、日本軍は破竹の勢いを示し、ものすごい戦果をあげた。そのなかでただひとつ、日本軍があわや敗退しそうになった戦いがあった。ウェーク島を巡る戦いである。この闘いは結果としては日本軍の勝利に終わったが、日本軍はアメリカの守備部隊よりはるかに大きな犠牲をはらった。その犠牲の教訓を、日本軍は後々のために生かすべきだったのに、勝利に酔いしれて生かすことをしなかった。そうした浮ついた姿勢は、その後の日本軍の運命を暗示していた、と児島襄氏は批判する。

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フランスの大統領選挙は、事前の大方の予想通り、社会党のオランド候補が勝利した。17年ぶりの左派政権の登場である。

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愚者の船は中世末期の民衆にとってなじみの深いテーマだったようだ。もともとは、十字架をあしらったマストの船が人々を天国に運んでくれるというイメージだったものが、後に生臭坊主や堕落した尼僧が船の客となって、天国ならぬ自堕落郷(阿呆国)へ運んでいくというイメージに変っていったものらしい。

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マリリン・モンローはソ連のスパイだった。彼女は、ソ連のスパイと恋に落ちたことをきっかけに、マーシャというコード名で、ソ連のためにスパイ活動を行っていた。そのスパイとしてのマリリンを描いた映画が、昨年の暮にロシアでリリースされ、ちょっとした反応を引き起こした。

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昨日(5月5日)の夜は巨大な月スーパームーンが見えた。筆者の家からも、夜空にひときわ大きく浮かんでいるのが見えた。例のうさぎの模様もありありと見えた。とにかく大きいのだ。通常の満月と比べ15パーセントほど大きく、30パーセントほど明るいという。

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5月5日、北海道電力の泊原発3号機が検査のため停止したことで、福島以前には54機あった日本の原発がすべて運転停止状態になった。先日枝野経済産業大臣はこの日の来ることを予想して、瞬間的に原発ゼロになるかもしれないといって顰蹙をかったばかりだが、瞬間的どころか、原発の再会がいつになるかわからないといったほうが、正しい現状認識といえそうだ。

ロベール・デスノスの「おりこうさんのおとぎ歌」から「ラマ(Le Lama)」(壺齋散人訳)

  ラマ ラマの子ども
  ラマのお父さん
  アルパカのいとこ
  お馬さんの弟分
  グアナコの兄貴
  いつも注意を働かせて
  物音の気配をかぎつけては
  おおかみ人間から逃げるんだ
  油断は禁物だからね
  ラマはペルーの都
  リマに住んでいます

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賑やかだった共和党の大統領候補選びが一段落して、ミット・ロムニーが勝ち残ったことで、これからは、ロムニーとオバマの一騎打ちへと、局面が移っていく。いまのところ、オバマが一歩リードということらしいが、ロムニーにも勝機があるといった見方もあるようだ。両者の勝敗を決するのは、アメリカ国内の景気の動向だというのがその根拠だ。最新のデータで失業率が8.1パーセントと出たように、アメリカ国民は、相変わらずの不景気に苛立ちを感じており、その不満がオバマに向けられつつあるというのだ。

第二次大戦後に生まれたブレトン・ウッズ体制がケインズ流の体制とするならば、1980年代以降は新古典派の経済理論が主流となり、政府の役割を縮小して市場の自主性に任せるべきだとするいわゆる市場原理主義が席巻するようになる。この市場原理主義的な経済体制は通常、ワシントン・コンセンサス体制と呼ばれている。

蘇軾の五言絶句「西塞風雨」(壺齋散人注)

  斜風細雨到來時  斜風細雨到來する時
  我本無家何處歸  我本家無し 何れの處へか歸らん
  仰看雲天真箬笠  仰いで雲天を看れば真に箬笠
  旋收江海入蓑衣  旋ち江海を收めて蓑衣に入れん

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先日はイスラエルのネタニアフ首相が、イランへの先制攻撃の可能性について言及して話題をさらったが、今度はロシアの高官が、NATOへの先制攻撃の可能性について言及し、アメリカを含むNATO加盟諸国を苦笑させている。

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5月3日、米中戦略・経済対話が北京で始まった。開幕に際して、中国の胡錦濤国家主席は、米中両国が信頼関係の構築に努めることが重要との考えを表明した。それに対してクリントン国務長官は、中国は思い切った減税を実行して、内需を拡大すべきだ、と実利にこだわった表明をした。中国の内需拡大は、米国にとっても有利だとの打算があるのだろう。

ヴォルテール、ディドロー、ダランベールといった18世紀フランスの啓蒙思想家たちとルソーとの関係は非常に微妙である。ルソーは若い頃には彼らと親しく付き合い、ディドローらの「百科全書」には音楽や経済に関する記事を寄稿したことでもわかるように、運動としての啓蒙思想に参加していた。第一論文の「学問・芸術論」はディドローのアドバイスを受けて書かれたという見立てもある。

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ロバート・スキデルスキー氏は著名なケインズ研究者である。原著で全3巻、2000ページを超える大著「ジョン・メイナード・ケインズ」をはじめ、ケインズに関する膨大な著作がある。生涯をケインズ研究に捧げたといってよい。

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盲目の人権活動家として世界中に知られている陳光誠(Chen Guangcheng)氏が、山東省での自宅軟禁状態を逃れて北京のアメリカ大使館に逃げ込んだことを巡って、一時米中間に緊張が走ったが、中国側が陳光誠氏の安全を保障し、なおかつ家族との面会も約束したことで、陳光誠氏は中国国内にとどまることを決意し、アメリカ大使館を出て、北京市内の病院に入院することになった。これは、米中両国が、深刻な対立に発展する事態を避けた、大人同士の取引だとして、一部メディアの評価もあったほどだ。

小説「1Q84」の中で村上は主人公の天吾に大麻を吸わせている。村上は登場人物に煙草を吸わせるシーンを小道具の一つとしてよく使ったが、大麻を含めて麻薬といわれるものをとりあげたのはこれが初めてだ。なぜそんなことをしたのか。大麻は言うまでもなく違法ドラッグであるし、それを吸うことの可否は道徳以前の問題だ。それなのにあえて世論に挑戦するような形で、主人公に大麻を吸わせる。

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共和党の大統領候補ミット・ロムニーは、アメリカ史上もっとも成功したビジネスマンであり、当然ながら巨額の資産を持っている。そのこと自体は責められることではないが、しかしそれらの資産をどのような形で保蔵しているか、これは興味を引くイシューだ。オバマ陣営は、この問題を取り上げ、ロムニーが海外に保蔵している資産の額が巨額に上ることを、ネット上で暴露した。

経済危機に苦しむヨーロッパ各国を尻目に、ドイツ経済は好調だ、と朝日の記事が伝えている(5月2日朝刊)。ダイムラー・ベンツでは、昨年、過去最高の210万台の売り上げを達成し、膨大な利益をあげたとして、従業員一人当たり4100ユーロの一時金を支給するほどだった。ダイムラーに限らず、他の自動車メーカーも、同じような好景気に沸いているそうだ。

岩波国語辞典の編集者水谷静夫氏の「曲がり角の日本語」(岩波新書)を読んだ。岩波国語辞典の初版から第7版まで編集したとあって、その間の日本語の変遷をずっと見つめてきた、そんな人が書いた日本語批判だから、なかなか説得力がある。

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ブルームバーグのテレビ討論会で、エコノミストのポール・クルーグマンと共和党の議員でかつ大統領補選のランナーだったロン・ポールが、アメリカの金融政策のあり方を巡って、すさまじい論戦をしたそうだ。ふたりとも名前にポールがついているので、この論争は、ポール対ポール論争と呼ばれた。

半藤一利著「遠い島ガダルカナル」を読んだ。半藤さん得意の戦史もので、事実の追跡といい、するどい批評眼といい、なかなか読みごたえがある。歴史書というより、ノンフィクション小説を読んでいるような感じがした。



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