フランスの大統領選挙は、事前の大方の予想通り、社会党のオランド候補が勝利した。17年ぶりの左派政権の登場である。
今回の大統領選は、サルコジに対する信任投票の色合いが強かった。サルコジは大統領としての5年間、フランスの経済を立て直すことができず、緊縮財政のもとで国民に大きな負担を強いてきた、それに対する国民の不満が彼の退場を促した、という面がある。
オランドが選挙戦で掲げた政策の基本は、財政規律重視から経済成長と国民生活重視への転換である。そのために、サルコジ政権下でとかく批判の対象となった金持ち優遇をやめて、金持にも応分の負担を強いる、緊縮政策を緩和して一定の財政支出を行い、雇用を増やす、などを主な政策としてあげている。
だが、こうした政策は、メルケル政権下のドイツの政策とは対立する可能性が強い。メルケルはあくまでも、財政規律の徹底にこだわっているからだ。
並行して行われたギリシャの総選挙では、メルケルの意を体して財政健全化に取り組んできた与党2党にノーがつきつけられ、場合によってはユーロからの離脱も視界に入ってきたようだ。
フランスが、ユーロ離脱を持ち出してまでドイツとの対立に突き進むかどうかについていえば、その可能性は弱いと考えられる。しかし、ドイツからの一定の理解がない限り、フランス独自で成長維持政策をとるのは難しいと見られる。
だから、オランドは就任早々、深刻なジレンマに直面するだろう。ユーロ圏を崩壊させない限度の中で、フランスがどれほど独自の政策を追求できるか、そんなに簡単な答えはないからだ。(写真は勝利宣言するオランド:AFPから)
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