ギャラップが一般のアメリカ人を対象に、今年5月に実施した最新の世論調査によれば、人間は今から1万年前に、神がご自身の姿に似せて作ったとする聖書の教えを、いまだに信じている人が46パーセントもいたということだ。1982年の調査では、この割合は44パーセントだったから、30年の間でかえって増加したということになる。
一方、人間は神が作ったのではなく、長い進化の過程の結果だとするダーウィンの科学的な考えを支持する人の割合は15パーセントに過ぎない。残りの32パーセントの人々は、人間は進化の産物だが、その過程は神によってコントロールされていたとする折衷的な考え方をしている。
どのような階層が、どの考えに傾きがちか、ギャラップなりの分析を紹介すると、第一に学歴が高いほど進化論を支持する割合が高い。大卒以上では29パーセントがダーウィンの進化論を支持するのに対し、高卒以下は半数以上が神による人間の創造説を信じている。
第二に、これは当然のことかもしれないが、定期的にキリスト教会に通っている人ほど、神による人間の創造説を信じている。
第三に、民主党支持者より共和党支持者の方が、神による人間の創造説を支持する人の割合は高い。もっとも民主党支持者においても、神による人間の創造説支持者の割合は、他の二つの説よりも、相対的に高いといえるが。
こうしてみると、アメリカの草の根保守主義の基盤に、宗教的な保守主義が断固として横たわっていることが推測される。多くのアメリカ人は、科学による一見合理的な説明よりも、宗教による感動的な啓示の方を、より重んじているということだろう。
同じく宗教とはいっても、キリスト教的な一神教とは異なる教えによって育てられてきた多くの日本人には、こうした事態は理解しがたいことかもしれない。日本人は、一方では一切衆生は輪廻して生まれ変わると本気で信じながら、他方では、人間は猿から進化したとするダーウィンの見解を、大した抵抗もなしに受け入れているばかりか、高崎山に生息するニホンザルたちを、実際に自分のお仲間だと本気で思い、あまつさえ、その行動を真似してもいるのだから。
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