アントワーヌ・サン=テグジュペリの名作 Le Petit Prince は、日本では「星の王子さま」の題名で、内藤濯の翻訳したものが愛読されてきた。これはこれで、多くの子どもたちに、感動を与えてきたのだと思う。
このたび、Le Petit Prince 原作の著作権が切れ、誰でも気軽に翻訳することが可能になった。このことをきっかけにして、世界中で、新しいバージョンの翻訳が登場することになるのだろう。
筆者も、そんな新しい翻訳バージョンを、日本の子どもたちに届けてあげたいと思ったひとりだ。
このブログで、一週一回につき一章の割合で、拙訳を紹介したいと思う。題名は、原文の雰囲気により近くと思って、「ちびっこ王子」とした。語り方は、なるべく子どもたちの目線に近い言葉づかいで、と心がけたつもりだ。
なお、訳文には原文を添え、対訳形式とした。また、原作に添付されているサン=テグジュペリ自筆のイラストを、当該の場所に示した。
まず、初回には、レオン・ヴェルトへの献辞を紹介する。
レオン・ヴェルトへ捧げる
この本を、一人の大人に捧げることについて、子どもたちには大目に見て欲しいと思う。これには、ちゃんとした理由があるんだ。まず、この大人のひとは、僕の無二の親友であること。次に、この大人のひとは、子どものための本もよくわかってくれる人だということ。そして、この大人のひとは、いまフランスに住んでて、飢えや寒さで苦しみ、慰めを必要としてるってこと。でも、これでも足りないというんなら、この大人のひとが子どもだったときに捧げたいと思う。どんな大人のひとにも、子どもだった時があるもんね。(忘れちゃってる人もいるけどね)じゃあ、やり直すよ。
子どもだったときの、レオン・ヴェルトへ捧げる
A Léon Werth.
Je demande pardon aux enfants d'avoir dédié ce livre à une grande personne. J'ai une excuse sérieuse : cette grande personne est le meilleur ami que j'ai au monde. J'ai une autre excuse : cette grande personne peut tout comprendre, même les livres pour enfants. J'ai une troisième excuse : cette grande personne habite la France où elle a faim et froid. Elle a besoin d'être consolée. Si toutes ces excuses ne suffisent pas, je veux bien dédier ce livre à l'enfant qu'a été autrefois cette grande personne. Toutes les grandes personnes ont d'abord été des enfants. (Mais peu d'entre elles s'en souviennent.) Je corrige donc ma dédicace :
A Léon Werth quand il était petit garçon
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