日露会談の内容が日本国民には正確に伝わっていない? 産経の暴露記事

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メドヴェージェフが国後島を視察したことについて、日露関係の立て直しの必要性に言及したプーチン大統領の姿勢と反するのではないか、と日本側は(筆者も含めて)強く批判したが、それはG20の場で設定された野田・プーチン会談での合意事項を踏みにじっている、と日本側が受け取ったことが背景の一つになっていた。片方では友好をいいながら、もう片方では相手の神経を逆なでするようなことをする、ロシア側のやり方は不届き極まりない、そんな反応だったわけだ。

ところがその野田・プーチン会談の内容が、国民には正しく伝わっていなかった、という趣旨のことを産経が暴露した。その結果、日本の国民はメドヴェージェフの行動を正しく理解出来なかった、と暗示しているわけである。

産経のいうことだから、どこまでまともにしていいのかはわからないが、ともあれ、そのいうところを要約すると、①両首脳とも北方領土交渉の「再活性化」とは発言しなかったにもかかわらず、日本側が再活性化で一致したと説明していた、②プーチン大統領が「話していく用意はある。外務省間で話をさせよう」と回答したと説明していたが、実際にはプーチン大統領は「外交当局間で議論させる用意がある」と発言しており、日本側の事後説明よりもトーンは弱かった、ということらしい。

産経が言いたいのは、ロシア側にはプーチンも含めて領土交渉に真剣に取り組む意図はないにもかかわらず、それを日本側が見誤って、領土交渉が再開されると早とちりしたうえ、すぐにでも四島が返ってくるかもしれないという期待を国民に抱かせた、それは野田政権の世論操作の意図にもとづいたもので、確固とした根拠があるものではなかった、ということらしい。

野田政権は、自分が国民についていた嘘を、メドヴェージェフによって暴かれた、といいたいようだ。たしかに、当時の主要な新聞紙には、交渉の「再活性化」という文字が躍っている。産経の紙面でもそうだ。それが、実際にはそんな言葉は使われていなかった、というのだから、産経が怒るのも無理がないところがある。

だが、産経がどういおうと、日露交渉が順調に進むかどうか、その責任の一端を日本側が負っていることは明らかだ。「再活性化」云々はともかくとして、プーチンの方も、交渉の再開に否定的な姿勢を示したわけではないのだし、メドヴェージェフが大統領だった時に、領土問題の存在そのものが否定されていたのにくらべれば、各段の前進なのだから。

ともあれ、野田総理の側も、産経にこんなことを暴き立てられるには、相応の理由があるということを十分に反省しなければならない。(写真は野田・プーチン会談:共同通信から)


関連サイト:ロシア情勢を読む





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このページは、が2012年7月 5日 20:19に書いたブログ記事です。

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