水は融点以下の温度では固体(氷)、沸点以上の温度では気体(水蒸気)というのが、地球上での常識である。融点と沸点は気圧と相互関係にあるので、多少の揺れはあるものの、だいたい摂氏零度が融点の目安、同100度が沸点の目安となっている。氷は冷たいもの、水蒸気は熱いものというのが、我々地球人の持つイメージだ。
ところが宇宙には、熱い氷というものも存在するらしい。地球から33光年離れた矮星にGJ436というものがあるが、その周囲を回っている惑星が、どうやら熱い氷でできている可能性が高いというのである。
この惑星は2004年に発見され、その後精密な望遠鏡を用いてサイズや質量の研究がなされてきた。その結果、この星は水でできている可能性の高いことがわかった。水が存在するということは、生物が存在する可能性もあることだから、研究者たちは大いに関心をそそられたらしい。
ところがこの星は、親星たる恒星にあまりにも近いために、摂氏250度という高温なのである。その高温にかかわらず、星は水のかたまりとして、天体としての実体を保っている。しかもその水は灼熱状の氷になっているという。
こんな高温の条件下で、何故水が固体でありうるのか、その理由は、星の質量と圧力にあるらしい。この星はおそらく質量が稠密で、しかも想像を絶する圧力にさらされているのだろう。その結果、溶けたり蒸発したりすることなく、熱い固体状の氷として、恒星の周りをまわっているらしいのである。
宇宙は広くかつ深い謎に包まれている。熱くしかも固体状の水があることなど、地球規模の範囲でものを考えている限り、想像に絶することではあるが、宇宙の事実としては珍しくも何ともないのであろう。
太陽系の中にも、氷の星はある。天王星と冥王星がそれだ。これらはいづれも、太陽から遠く離れているので、氷は無論冷たいはずだ。
(参考)
Hot ice may cover recently discovered planet By Maggie Foxx : Reuter
関連リンク: 日々雑感
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