「秋の歌」は、ヴェルレーヌの作品の中で、少なくとも日本人にとっては、もっとも親しまれているものである。ヴェルレーヌの詩を特徴付けているあの音楽的な要素が、これほど完璧に成功している作品はないと思われるのだ。
読む人にこの詩が訴えかけているところは、改めていうまでもあるまい。
日本人は、上田敏の訳によって、この詩を鑑賞してきた。その向こうを張るつもりではないが、ここに筆者の訳によって、詩の雰囲気を味わっていただきたい。
―秋の歌(拙訳)
秋の日の
ヴィオロンの
ため息は
余が胸を
けだるくも
悩ましぬ
息も絶へ
青ざめて
鐘の音に
余は思ふ
去りし日を
涙して
去らんかな
風とともに
あちこちと
さまよひて
一片の
枯葉の如く
(フランス語原文)
Chanson d'automne
Les sanglots longs
Des violons
De l'automne
Blessent mon coeur
D'une langueur
Monotone.
Tout suffocant
Et blême, quand
Sonne l'heure,
Je me souviens
Des jours anciens
Et je pleure
Et je m'en vais
Au vent mauvais
Qui m'emporte
Deçà, delà,
Pareil à la
Feuille morte.
関連リンク: 詩人の魂>ポール・ヴェルレーヌ:生涯と作品
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