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女と猫(ヴェルレーヌ:サチュルニアン詩集)


ヴェルレーヌはボードレールの落とし子の一人ではあったが、ボードレールのように猫を歌うことはあまりなかった。そんな中で猫をとりあげて歌ったこの詩は珍しいものといえる。だが、詩に歌われた猫は、ボードレールの猫とは異なり、人間の女を思わせるようだ。

女が猫と戯れる。互いに鋭い爪を隠しながら、いつでもそれをむき出すことができるのだ。

一読してわかりとおり、これはレズビアンの戯れを歌ったものだ。

ヴェルレーヌは、自らのうちにあるゲイへの傾きを、レズビアンに託して歌ったのであるとするのが、自然な解釈であろう。


女と猫(拙訳)

  女が猫と戯れるのは
  見飽きることのない無邪気な眺め
  女の白い手と猫の黒い手が
  夕暮れの暗闇の中で絡み合う

  罪深き女は心にもなく
  メノウで飾った鋭い爪を
  黒い手袋の中に隠す
  剃刀のように一撃で刺し通す爪だ

  猫のほうも優しさを装い
  鋭利な爪を収めているが
  いつでも立てることができるのだ

  寝室の中には音がざわめき
  くすくすと笑いあう声に混じって
  四つの燐光が光っている


Femme et chatte

  Elle jouait avec sa chatte,
  Et c'était merveille de voir
  La main blanche et la blanche patte
  S'ébattre dans l'ombre du soir.

  Elle cachait - la scélérate ! -
  Sous ces mitaines de fil noir
  Ses meurtriers ongles d'agate,
  Coupants et clairs comme un rasoir.

  L'autre aussi faisait la sucrée
  Et rentrait sa griffe acérée,
  Mais le diable n'y perdait rien...

  Et dans le boudoir où, sonore,
  Tintait son rire aérien,
  Brillaient quatre points de phosphore


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