「わたしの心は悲しかった」と題するこの詩は、ヴェルレーヌの特徴である感傷性と音楽性が最もよく調和した逸品であり、彼の一つの到達点を示している。だが、そこには深い精神性は感じられない。どちらかというと、言葉がそれを発した人間とは無関係に、自分自身に酔っているような風情だ。
詩の中に歌われている女とは、ランボーをさしているのだろうか。それとも妻マチルドへの未練を語っているのだろうか。
わたしの心は悲しかった
わたしの心は悲しかった
たった一人の女のために
わたしの心は慰められない
たとえ束縛されてはなくとも
わたしの心 わたしの魂が
たとえあの女から離れていても
わたしの心は慰められない
たとえ束縛されてはなくとも
わたしの余りに高ぶった心が
その余りに魂に語った
かかることがあるのだろうか
火のように熱く惨めなさすらい
我が魂は心に答えた
不思議な何かが私たちを
かくもあの女に結び付けると
かくも遠く隔たっているのに
Ô triste, triste était mon âme : Paul Verlaine
Ô triste, triste était mon âme
A cause, à cause d'une femme.
Je ne me suis pas consolé
Bien que mon coeur s'en soit allé,
Bien que mon coeur, bien que mon âme
Eussent fui loin de cette femme.
Je ne me suis pas consolé,
Bien que mon coeur s'en soit allé.
Et mon coeur, mon coeur trop sensible
Dit à mon âme : Est-il possible,
Est-il possible, - le fût-il,
Ce fier exil, ce triste exil ?
Mon âme dit à mon coeur : Sais-je,
Moi-même, que nous veut ce piège
D'être présents bien qu'exilés
Encore que loin en allés ?
関連リンク: 詩人の魂>ポール・ヴェルレーヌ:生涯と作品