子有るも金を留めず(陶淵明:雜詩其六)

| コメント(0) | トラックバック(0)

陶淵明の詩から、「雜詩其六:子有るも金を留めず」を読む。


雜詩其六

  昔聞長者言  昔 長者の言を聞けば
  掩耳毎不喜  耳を掩うて毎に喜ばず
  奈何五十年  奈何ぞ五十年
  忽已親此事  忽ち已に此の事を親(みづから)せんとは
  求我盛年歡  我が盛年の歡を求ること
  一毫無復意  一毫も復た意無し
  去去轉欲速  去り去りて轉た速くならんと欲す
  此生豈再値  此の生豈に再び値はんや
  傾家持作樂  家を傾けて持って樂しみを作し
  竟此歳月駛  此の歳月の駛するを竟へん
  有子不留金  子有るも金を留めず
  何用身後置  何ぞ用ひん身後の置(はからひ)を

若い頃は長者の小言を聞くと、耳を覆って聞かないようにしたものだ、それが50年過ぎたいま、自分自身がかつての長者と同じことをやっている

若い頃の楽しみを求めることは、今となっては全くない、月日はますます早く過ぎ去り、人生も終わりに近づいた、一度死んでしまってはもう生き返ることもない

全財産を擲って楽しみを極め、時の流れに身を任せよう、子があっても金を残すことはすまい、ましてや自分の死後のことなど考えることはやめよう


関連リンク: 漢詩と中国文化陶淵明雑詩十二首


  • 五柳先生伝(陶淵明:仮想の自叙伝)

  • 責子:陶淵明の子どもたち

  • 陶淵明:帰去来辞

  • 帰園田居五首:田園詩人陶淵明
  • 桃花源記 :陶淵明のユートピア物語

  • 閑情賦:陶淵明のエロティシズム

  • 形影神(陶淵明:自己との対話)

  • 擬挽歌詩:陶淵明自らのために挽歌を作る

  • 自祭文:陶淵明自らを祭る

  • 飲酒二十首
  • 中国古代の詩:古詩源から

  • 秋瑾女史愛国の詩:寶刀歌





  • ≪ 古人寸陰を惜しむ(陶淵明:雜詩其五) | 漢詩と中国文化 | 家は逆旅の舍なり(陶淵明:雑詩其七) ≫

    トラックバック(0)

    トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/510

    コメントする



    アーカイブ

    Powered by Movable Type 4.24-ja

    本日
    昨日

    この記事について

    このページは、が2007年12月10日 20:35に書いたブログ記事です。

    ひとつ前のブログ記事は「古人寸陰を惜しむ(陶淵明:雜詩其五)」です。

    次のブログ記事は「美の女神 La Beauté 悪の華」です。

    最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。