パイプ La Pipe:ボードレール

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ボードレール詩集「悪の華」 Les Fleurs du Mal から「パイプ」 La Pipe を読む。(壺齋散人訳)


パイプ

  俺は作家のパイプだ
  アビシニアであれ カフリナであれ
  煙の煤にまみれた俺の黒い顔を見れば
  主人のタバコ好きがわかるだろう

  主人が悲しみに沈むとき
  俺はかまどの煙のような
  勢いのいい煙を吐く
  夕餉の支度の暖かい煙だ

  俺は主人を慰めてやり
  口から吐き出した煙の輪で
  主人の心を抱きしめてやる

  強い芳香を投げかけながら
  主人の心を虜にし
  精神の疲労を癒してやる

タバコは、ボードレールにとっては、自らが愛したバロック趣味の象徴のようなものだったらしい。彼はワインやアシーシュとともに、タバコを愛すること深いものがあった。

解説は殆ど無用と思うが、ここでアビシニア、カフリナとあるのは、当時の葉巻タバコの銘柄である。


La Pipe - Charles Baudelaire

  Je suis la pipe d'un auteur;
  On voit, à contempler ma mine
  D'Abyssinienne ou de Cafrine,
  Que mon maître est un grand fumeur.

  Quand il est comblé de douleur,
  Je fume comme la chaumine
  Où se prépare la cuisine
  Pour le retour du laboureur.

  J'enlace et je berce son âme
  Dans le réseau mobile et bleu
  Qui monte de ma bouche en feu,

  Et je roule un puissant dictame
  Qui charme son coeur et guérit
  De ses fatigues son esprit.


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