イギリスの男たちへ To the Men of England:シェリー

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パーシー・ビッシュ・シェリーの詩「イギリスの男たちへ」 To the Men of England を読む。(壺齋散人訳)


イギリスの男たちへ

  イギリスの男たちよ 何ゆえに
  諸君の抑圧者のために耕すのだ
  何のゆえに手をかけて
  抑圧者の衣装を仕立てるのだ

  何ゆえ恩知らずの怠け者どもを
  食わせたり着せたり守ったり
  揺りかごから墓場まで世話を焼き
  諸君の血を吸わせるのだ

  イギリスの働き蜂よ 諸君は何ゆえ
  武器や鎖やむちを作るのだ
  仮借ないごろつきどもがそれを使って
  諸君を駆り立てるだけだというのに

  諸君には安楽や平和があるだろうか
  暖かい家や優しい愛があるだろうか
  苦痛や恐れを代償に諸君が買うものは
  あまりにも高価とはいえないだろうか

  諸君がまいた種を他人が刈り取る
  諸君が見つけた宝を他人が掠める
  諸君がつむいだ衣を他人が着る
  諸君が鋳造した武器を他人が使う

  まいた種を他人に刈り取らすな
  見つけた宝を他人に掠められるな
  つむいだ衣を他人に着さすな
  鋳造した武器を他人に使わすな

  身を縮めて洞穴にもぐりこめ
  諸君の家には他人が住んでいる
  何ゆえ諸君の作った鎖が振り回され
  諸君の鍛えた剣が諸君に向けられるのだ

  鋤や鍬 スコップでもって
  自分が入る墓穴を掘れ
  そして自分が着る死装束を織れ
  イギリスが墓場となるその時のために

シェリーがこの詩を書いた1819年、イギリスでは反動的な政府と勃興しつつある労働者階級との間で対立が深まっていた。8月にはマンチェスターで開かれた集会に10万人近い労働者が集まったが、それが反乱に発展することを恐れた政府は徹底的に弾圧した。その結果おびただしい数の労働者が死んだ。歴史上「マンチェスターの虐殺」と呼ばれている。

当時ヨーロッパにあったシェリーは、祖国の動向を常に気にかけ、抑圧される労働者の状態に深い関心を抱いていた。この詩はそんな折に、「マンチェスターの虐殺」の報に接し、強い怒りを込めて書いたものと思われる。

シェリーの若年の頃からの社会主義的傾向が、これ以降、詩作のうえでも強まってくるのである。


To the Men of England - Percy Bysshe Shelley

  Men of England, wherefore plough
  For the lords who lay ye low?
  Wherefore weave with toil and care
  The rich robes your tyrants wear?

  Wherefore feed and clothe and save,
  From the cradle to the grave,
  Those ungrateful drones who would
  Drain your sweat -nay, drink your blood?

  Wherefore, Bees of England, forge
  Many a weapon, chain, and scourge,
  That these stingless drones may spoil
  The forced produce of your toil?

  Have ye leisure, comfort, calm,
  Shelter, food, love's gentle balm?
  Or what is it ye buy so dear
  With your pain and with your fear?

  The seed ye sow another reaps;
  The wealth ye find another keeps;
  The robes ye weave another wears;
  The arms ye forge another bears.

  Sow seed, -but let no tyrant reap;
  Find wealth, -let no imposter heap;
  Weave robes, -let not the idle wear;
  Forge arms, in your defence to bear.

  Shrink to your cellars, holes, and cells;
  In halls ye deck another dwells.
  Why shake the chains ye wrought? Ye see
  The steel ye tempered glance on ye.

  With plough and spade and hoe and loom,
  Trace your grave, and build your tomb,
  And weave your winding-sheet, till fair
  England be your sepulchre!


関連リンク: 英詩のリズムパーシー・B・シェリー

  • ウィリアム・ワーズワース

  • ロバート・バーンズ Robert Burns

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