青青たる河畔の草:捨てられた女の悲しみ(古詩十九首其二)

| コメント(0) | トラックバック(0)

古詩十九首から其二「青青たる河畔の草」を読む。


古詩十九首其二:青青河畔草

  青青河畔草  青青たる河畔の草
  鬱鬱園中柳  鬱鬱たる園中の柳
  盈盈樓上女  盈盈たる樓上の女
  皎皎當窗牖  皎皎として窗牖に當たる
  娥娥紅粉妝  娥娥たる紅粉の妝
  纖纖出素手  纖纖として素手を出だす
  昔為娼家女  昔は娼家の女たり
  今為蕩子婦  今は蕩子の婦と為る
  蕩子行不歸  蕩子 行きて歸らず
  空床難獨守  空床 獨り守り難し

河畔の草は青々とし、園中の柳は鬱蒼としている、みずみずしい女が楼閣の上にあって、色白の姿を窓辺に寄せている、(鬱鬱は鬱蒼と茂るさま、盈盈はみずみずしいさま、皎皎は色が白く美しいさま、娥娥はあでやかで美しいさま、)

美しく化粧した装いで、か細くも白い手だ、昔は娼家の女であったが、今では蕩子の妻となっている、その蕩子が行方も知らずになって、女は一人寝が耐え難いという、(蕩子は道楽者の男)


昔は娼家の女であったものが、今では蕩子の婦となり、しかも捨てられて寂しさに耐えない、そんな女心を歌ったものである。

一句目の「青青河畔草」から六句目の「纖纖出素手」まで、畳み掛けるように重ねていく手法は、技巧に勝ったものといえようか。


関連リンク: 中国古代の詩古詩十九首

  • 陶淵明:詩と構想の世界

  • 漢詩と中国文化

  • 古詩源:中国古代の詩

  • 秋瑾女史愛国の詩:寶刀歌





  • ≪ 行行重行行:別離の詩(古詩十九首其一) | 中国古代の詩 | 青青たる陵上の柏:人生楽しむべし(古詩十九首其三) ≫

    トラックバック(0)

    トラックバックURL: http://blog.hix05.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/668

    コメントする



    アーカイブ

    Powered by Movable Type 4.24-ja

    本日
    昨日

    この記事について

    このページは、が2008年3月24日 20:50に書いたブログ記事です。

    ひとつ前のブログ記事は「チンパンジーの権力闘争:京大グループによる研究」です。

    次のブログ記事は「青青たる陵上の柏:人生楽しむべし(古詩十九首其三)」です。

    最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。