妖精の歌 Fairy Song :キーツ

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ジョン・キーツの詩「妖精の歌」 Fairy Song を読む。(壺齋散人訳)

  涙するなかれ!おお涙するなかれ!
  散った花はまた咲くのだから
  泣くなかれ!おお泣くなかれ!
  地中には新しい命が芽吹くのだから
  目をぬぐえ!おお目をぬぐえ!
  わたしは天に召されて
  心静める歌を習ったのだから
          涙するなかれ

  見上げよ!おお見上げよ!
  色とりどりに咲く花の間を
  見よ わたしは小鳥のように
  ざくろの若枝に羽ばたいている
  見よ わたしの銀色のくちばしは
  あらゆる人々の病を癒す
  涙するなかれ!おお涙するなかれ!
  散った花はまた咲くのだから
  さらば さらば わたしは飛び去る
  紺碧に輝く天の彼方に
          さらば さらば

「妖精の歌」と題するこの詩は、キーツの絶唱の一つである。やはりファニー・ブローンに捧げられたものと思われる。

この詩の中でキーツは、死んで天使になった自分が、生き残って自分を悲しんでいる人に呼びかけているのだととれる。あるいは、自分の死を予感して嘆き悲しむキーツ自身に、天使が呼びかけているのだともとれる。


Fairy Song - John Keats

  Shed no tear! oh, shed no tear!
  The flower will bloom another year.
  Weep no more! oh, weep no more!
  Young buds sleep in the root’s white core.
  Dry your eyes! oh, dry your eyes!
  For I was taught in Paradise
  To ease my breast of melodies,—
             Shed no tear.

  Overhead! look overhead!
  ‘Mong the blossoms white and red—
  Look up, look up! I flutter now
  On this fresh pomegranate bough.
  See me! ’tis this silvery bill
  Ever cures the good man’s ill.
  Shed no tear! oh, shed no tear!
  The flower will bloom another year.
  Adieu, adieu—I fly—adieu!
  I vanish in the heaven’s blue,—
             Adieu, adieu!


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