この日が過ぎ去った The Day is Gone :キーツ

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ジョン・キーツの詩「この日が過ぎ去った」 The Day is Gone を読む。(壺齋散人訳)

  この日が過ぎ去った すべての甘い思い出とともに!
  甘い声 甘い唇 柔らかな手 ふくよかな胸も
  暖かい息 さやかなささやき か細い声も
  輝く目 優雅ないでたち けだるい物腰も消え去った! 

  花は蕾もろともに色あせてしまった
  美しい眺めが目の前から消えうせてしまった
  美しい形が指の間からすり抜けてしまった
  声も 暖かさも 優美さも 天上のことどもも
  すべてが夜の到来とともに消え去ってしまった

  この休息日のたそがれ時に
  愛の余韻ただよう宵闇があたりを暗黒に包み
  人を死の喜びに誘惑するけれど
  わたしはミサを読んで信仰を固くしたばかりだから
  きっとやすらかに眠ることができるだろう

言葉の優しさとは裏腹に、盛られている内容は難解なものだ。おそらくキーツは死の誘惑について、歌っているのだろう。

The Day is Gone をどう訳すかは、難しい。「今日一日」と訳せばありきたりになるし、心の中にある輝かしい日々を象徴する一日という意味で、「あの日」ととらえるのは、コンテクストからして困難がともなう。そこで中途半端かもしれないが、「この日」と訳してみた。


The Day is Gone, and all its Sweets are Gone - John Keats

  The day is gone, and all its sweets are gone!
  Sweet voice, sweet lips, soft hand, and softer breast,
  Warm breath, light whisper, tender semitone,
  Bright eyes, accomplished shape, and lang'rous waist!
 

  Faded the flower and all its budded charms,
  Faded the sight of beauty from my eyes,
  Faded the shape of beauty from my arms,
  Faded the voice, warmth, whiteness, paradise -
  Vanished unseasonably at shut of eve,

  When the dusk holiday -or holinight
  Of fragrant-curtained love begins to weave
  The woof of darkness thick, for hid delight;
  But, as I've read love's missal through today,
  He'll let me sleep, seeing I fast and pray.


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