詩経国風:周南篇から「樛木」を読む。(壺齋散人注)
南有樛木 南に樛木(きゅうぼく)有り
葛藟纍之 葛藟(かつるい)之に纍(かさ)なる
樂只君子 樂しきかな君子
福履綏之 福履之に綏んず
南有樛木 南に樛木有り
葛藟荒之 葛藟 之を荒(おほ)ふ
樂只君子 樂しきかな君子
福履將之 福履之を將(たす)く
南有樛木 南に樛木有り
葛藟縈之 葛藟 之を縈(めぐ)る
樂只君子 樂しきかな君子
福履成之 福履之を成す
南に枝の曲がった木があり、葛のツルが巻きついている、君子の楽しいことはこの葛のように、細君が頼りにしてくれるからだ
南に枝の曲がった木があり、葛のツルが覆っている、君子の楽しいことはこの葛のように、細君が助けてくれるからだ
南に枝の曲がった木があり、葛のツルが這い回っている、君子の楽しいことはこの葛のように、細君が一緒にいてくれるからだ
これは樛木とそれに寄り添う葛のように、夫婦の仲がむつましいさまを歌ったものであろう、同じ意味の句を繰り返すことによって、感情の素朴さを強調している、
福履についてはさまざまな解釈があり、毛詩は福も履も同じ意味だというようなことをいっているが、文意からして配偶者をさすと見るのが妥当だろう
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