詩経国風:周南篇から、「汝墳」を読む。(壺齋散人注)
遵彼汝墳 彼の汝墳に遵(したが)ひ
伐其條枚 其の條枚を伐る
未見君子 未だ君子を見ず
惄如調飢 惄(でき)として調飢の如し
遵彼汝墳 彼の汝墳に遵ひ
伐其條肄 其の條肄を伐る
既見君子 既に君子を見る
不我遐棄 我を遐棄せず
舫魚赬尾 舫魚 赬尾
王室如燬 王室 燬くが如し
雖則如燬 則ち燬くが如しと雖も
父母孔邇 父母 孔(はなは)だ邇(ちか)し
あの汝水の堤に沿って歩き、木の枝を刈っては薪にしています、でも夫と会うことができぬままに、心は飢えて朝食をとっていないかのようです
あの汝水の堤に沿って歩き、木のひこばえを刈っては薪にしています、とうとう夫と会うことができました、わたしのことを忘れてはいませんでした
舫魚は苦労すると赤くなります、王室も我が夫にそのような苦労を負わせます、でも王室がどんなに責め立てても、父母を思いやってもう戦争に行かないでください
戦争に借り出されて遠征していった夫を思いやる気持ちと、夫が帰ってきたことへの喜びを歌ったものと考えられる、妻は再会の喜びをかみしめながら、夫に再び戦争に行かないで欲しいと願っている