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ある理性に A une raison :ランボー「イリュミナション」


ある理性に A une raison (ランボー「イリュミナション」から:壺齋散人訳)

  お前の指が太鼓をひと叩きすると
  あらゆる音が飛び出し 新しいハーモニーが生じる

  お前がひと歩きすると 新兵たちの行進のように勇ましい

  お前が頭の向きを変えると 新しい愛が生まれる
  お前が頭をもとに戻すと そこにも新しい愛が生まれる

  「運命を変えよう 疫病を克服してやり直そう」
  子どもたちがそうお前に歌う
  「肝心なのは運と意欲さ」
  皆はお前にそういう

  時が熟せば どこへでも行くさ

ここでいう「理性」とは何を意味するかについて、さまざまな議論がなされてきた。ランボーのプラトニズムを読み取ったり、錬金術の思想を読み取る見方もあるが、もっとも有力なのはパリ・コミューンとの関連だ。

ランボーがパリ・コミューンの中に、新しい世界の創造と新しい社会秩序の可能性を読み取ったことは周知のことだ。彼は早いうちに、その運動から脱落したが、それを通じて身に着けたアナーキズム的な傾向は終生保ち続けたようだ。後年ロンドン滞留中に、コミューンの残党やアナーキストと交流した記録も残っている。

この詩は、「地獄の一季節」よりも早い時期に書かれた可能性が高い。


A une raison

    Un coup de ton doigt sur le tambour
  décharge tous les sons et commence la nouvelle harmonie.

    Un pas de toi, c'est la levée des nouveaux hommes et leur en-marche.
  Ta tête se détourne: le nouvel amour!
  Ta tête se retourne: le nouvel amour!

     "Change nos lots, crible les fléaux, à commencer par le temps",
  te chantent ces enfants.
  "Élève n'importe où la substance de nos fortunes et de nos voeux",
  on t'en prie.

    Arrivée de toujours, tu t'en iras partout.


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