さまようのはやめよう So we'll go no more a-roving(バイロン:壺齋散人訳)
もう さまようのはやめよう
夜はこんなにも更けてしまった
心がまだ愛に息づいていても
月がまだ明るく照らしていても
剣は鞘がなくなってもある
魂は胸がはりさけても生きる
心も時には休らわねばならぬ
愛もまたそうなのだ
夜が愛のためにあるといい
朝の来るのが余りに早いからといって
月の光をいいことに
もうこれ以上 さまようのはやめよう
文字面からはわかりづらいが、バイロンはこの詩に、性的なニュアンスを込めているといわれる。激しい性の交わりに疲れた歌だというのだ。そのつもりで読むと、わからないところもわかってくる。たとえば剣は「男根」の隠喩というように。
冒頭の一節は、スコットランドのある民謡からとったようである。バイロンのこの詩には民謡風の大らかさがあるので、後にレナード・コーエンが曲を付け、ジョーン・バエズが1960年代に歌った。
So we'll go no more a-roving
So we'll go no more a-roving
So late into the night,
Though the heart be still as loving,
And the moon be still as bright.
For the sword outwears its sheath,
And the soul outwears the breast,
And the heart must pause to breathe,
And love itself have rest.
Though the night was made for loving,
And the day returns too soon,
Yet we'll go no more a-roving
By the light of the moon.
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