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伯兮:戦場の夫の安否を気遣う(詩経国風:衛風)


詩経国風:衛風篇から「伯兮」を読む。(壺齋散人注)

  伯兮朅兮  伯の朅(けつ)なるや
  邦之桀兮  邦の桀なり
  伯也執殳  伯や殳(ほこ)を執りて
  為王前驅  王の為に前驅す

  自伯之東  伯の東してより
  首如飛蓬  首飛蓬の如し
  豈無膏沐  豈に膏沐すること無からんや
  誰適為容  誰を適としてか容を為さん

  其雨其雨  其れ雨ふれ其れ雨ふれと
  杲杲出日  杲杲として出づるの日あり
  願言思伯  願(つね)に言(ここ)に伯を思ひて
  甘心首疾  首の疾しきに甘心す

  焉得諼草  焉んぞ諼草を得て
  言樹之背  言に之を背に樹ゑん
  願言思伯  願に言に伯を思へば
  使我心痗  我が心をして痗(や)ましむ

夫の勇ましいことは、国の誉れです、夫は矛を取って、王様のために前衛を勤めるのです

夫が東のほうに戦いに赴いてから、わたしの頭は雑草のようにぼさぼさです、油をつけたり洗ったりしないわけではありませんが、夫がいないのに誰のためにおめかしをしましょうか

雨が降って欲しいと願い続けていたら、太陽がカンカント照らすばかりです、いつも夫のことを思っては、頭が痛くなるのも気になりません

どうか憂いを忘れる草を手に入れて、背後の庭に植えておきたいものです、いつも夫のことを思っては、わたしの心は悲しくなるばかりなのです


戦いに出て帰らない夫を思いやる歌である。伯はもと君子を意味する言葉であるが、ここでは敬愛する夫をさして使っている、また諼草の諼は忘れるという意味で、草の名ではない、願はここでは「つねに」の意味で使っている


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